IT環境の変化を先取りする企業事例とIBMのねらいServer & Storageイベントレポート(1/2 ページ)

モバイル・ビッグデータ・ソーシャルネットワーク……、そして史上最速の対応スピードを求められる世界。企業を取り巻くIT環境の変化に、IBMはどのような対応を提案している?

» 2013年08月07日 17時47分 公開
[吉村哲樹@IT]

 2013年7月18日、品川プリンスホテル(東京・品川)にて日本IBM主催のイベント「IBM Impact 2013」が開催された。「クラウド・モバイル時代に求められるアプリケーション基盤とビジネスプロセス」をテーマに掲げ、企業のCIOやIT部門の担当者を対象に、IBMが提供するさまざまなソリューションの解説や事例紹介が行われた。当日は26のセッションが行われたが、本稿ではその中から基調講演「ビジネスが動く。新たなプラットフォームが動かす」の内容を紹介する。

モバイル・ソーシャル時代にあるべき企業システムの全体像

 「ITの世界には現在、“メインフレーム”“クライアント・サーバ”に続く第3の波が押し寄せている。それが、クラウドやビッグデータ、モバイル、ソーシャルといった新たなITプラットフォームの台頭だ」

 基調講演の冒頭に登壇した日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 ヴィヴェック・マハジャン氏はこう述べる。

 企業が顧客に高い価値を提供しながら市場で生き残っていくためには、これらの新たなITプラットフォームを積極的に取り込んでいくことが不可欠だと指摘する。そしてIBMはクラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルを企業が活用し、新たなビジネス機会をつかんでいくためのさまざまなソフトウェア「プラットフォーム」製品を提供している、というのがマハジャン氏の主張だ。

 「IBMは個別のソリューションだけでなく、プラットフォームを提供できる。企業がクラウドやモバイル、ビッグデータ、ソーシャルを有機的に結び付け、それらを戦略的にビジネスで活用することを可能にできる」(マハジャン氏)

 続いて登壇した、日本IBM 理事 ソフトウェア事業 WebSphere事業部 事業部長 三戸篤氏は、こうしたプラットフォームこそが今後の企業システムにおいて中心的な役割を担うと述べ、IBMではこれを「Systems of Interaction」、つまり「相互に作用するシステム」と定義しているという。

 三戸氏はまず、従来の業務トランザクション処理を中心とした基幹業務システムのことを「Systems of Record」、近年のモバイルやソーシャルの潮流がもたらした新たなITの在り方を「Systems of Engagement」、つまり「人と関わり合うシステム」と定義付ける*。さらにはセンサーデータやGPSデータなど、“モノ”が発信するデータを基に新たな価値を生み出す「Internet of Things」も、企業にとっての新たなITの在り方として重要性を増していると指摘する。

*Systems of Record、Systems of Engagementはジェフリー・ムーアが2011年に著書『Systems of Engagement and The Furute of Enterprise IT』で示した概念。



 その上で同氏は、「これからの企業システムはSystems of Record、Systems of Engagementに加え、Internet of Thingsの3つのシステムドメインを包含したものになる。そして、この3つが同一プラットフォーム上でそれぞれ密接に関わり合い、『相互に作用する』ことで、いままでにはなかったまったく新しいITの価値を生み出すことができる」と述べ、Systems of Interactionはまさにこうした企業システムの全体像を指すコンセプトであると説明した。

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