「ルータがボトルネックに」、日本HPが企業向けルータ市場に参入コストパフォーマンスを武器に

日本ヒューレット・パッカードは2013年10月17日、。企業のセンタールータやデータセンターでの利用を想定したハイパフォーマンスルータ「HP HSR Routerシリーズ」と、支社/小規模拠点向けのマルチサービスルータ「HP MSR Routerシリーズ」の2シリーズを投入し、企業向けルータ市場に本格参入することを明らかにした。

» 2013年10月18日 11時00分 公開
[高橋睦美,@IT]

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は2013年10月17日、企業向けルータ市場に本格参入することを明らかにした。企業のセンタールータやデータセンターでの利用を想定したハイパフォーマンスルータ「HP HSR Routerシリーズ」と、支社/小規模拠点向けのマルチサービスルータ「HP MSR Routerシリーズ」の2シリーズを投入し、「企業ネットワークの再構築を実現していく」(同社 インダストリスタンダードサーバー・ネットワーク製品本部 HPネットワーク製品企画部 深川佳公氏)という。

 日本HPはこれまで、中小規模企業からエンタープライズ、データセンターまで幅広い分野をカバーしたスイッチ製品を提供し、ギガビットイーサネット(GbE)はもちろん、10GbEや40GbEといったLANの広帯域化を支援してきた。

 しかし近年、クラウドの浸透やモバイルデバイスの増加、ビデオやWebミーティング、SNSといったコミュニケーションツールの普及といった要因により、WAN経由のトラフィックも増大している。この結果、「既存のルータではボトルネックになってしまう。WAMとLANとを接続するルータの高速化が重要になっている」(日本HP HPネットワーク事業本部 事業本部長 多田直哉氏)。

 こうした背景から投入するルータ製品群の特徴の1つは、コストパフォーマンスの高さだ。1万円当たりのパケット処理能力(pps)で比べると、エントリモデルに位置付けられる小規模拠点向けの「HP MSR930」は他社製品の3倍以上、中規模拠点向けの「HP MSR3012」では8倍以上になるという。VPNやユニファイドコミュニケーションといった、ルーティング以外の機能も標準で備えており、追加コストが不要なこともメリットという。

 また、拠点やデータセンターとの接続に不可欠なVPNの運用負荷を軽減する「Dynamic VPN(DVPN)」機能も実装した。独自のVAM(VPN Address Management)プロトコルを活用することで、VPN接続に用いるグローバルIPアドレスを自動的に収集し、拠点側での設定を行うことなくVPNセッションを確立できるようにする。

 HP HSR RouterシリーズとHP MSR Routerシリーズはともに、スイッチ製品と共通のネットワークOS「Comware OS Version5」を搭載しており、管理用インターフェイスも同等だ。保証やサポート体制もスイッチ製品と同様のものが提供される。さらに、ネットワーク統合管理ソフト「HP Intelligent Management Center」を併用することで、一元的な管理が可能という。

 HPはSoftware Defined Network(SDN)戦略も推進しており、「ルータはSDNのピースとしても重要な意味を持つ」(多田氏)。今回のリリースでは具体的に明示しなかったものの、今後のバージョンアップを通じてSDN対応を進めていくという。

 HP MSR Routerシリーズには、小規模拠点向けで最大処理能力が300KppsのMSR930のほか、ブランチオフィスや支社などをターゲットとした「MSR2000シリーズ」「MSR3000シリーズ」「MSR4000シリーズ」が用意されている。価格は、MSR930が9万300円から。

 またHP HSR Routerシリーズは、2Uサイズのモジュール型「HSR6600シリーズ」と、シャシー型の「HHSR6800シリーズ」で構成されている。いずれもハイエンドでのニーズを踏まえ、ルーティングエンジンや電源モジュールを冗長化したほか、コントロールプレーンとデータプレーンが独立した設計とし、グレースフルリスタート機能を備えるなど、可用性、信頼性を高めている。価格は、HSR6600が249万2450円から。

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