プライベートクラウド環境のデータ管理に必要な「3つの視点」プライベートクラウドをめぐる誤解(2)(1/2 ページ)

「データ管理」に関する考え方も、仮想化やプライベートクラウドといった概念が登場したことで、運用効率化に向けて発想を転換するチャンスが訪れた。運用効率化を軸にした3つの視点から選定指針を検討する。

» 2014年03月27日 19時00分 公開
[三木泉@IT]

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プライベートクラウドとデータ管理

 広義でのデータ管理は、仮想化統合からプライベートクラウドへの移行を推進する大きな理由となる。仮想化環境になるとバックアップなどのデータ管理が難しくなるとよくいわれる。しかし、これは話が逆だ。仮想化およびプライベートクラウド構築に伴ってデータ運用は変わらざるを得ないが、変えるチャンスであり、逆に変えることでメリットが生まれる。

 仮想化からプライベートクラウドへの動きは、分散化したITを、あたかも単一のコンピューターであるかのようにまとめ上げ、これによってITインフラ運用の効率化、自動化を図ることだと表現することもできる。だからといって、メインフレームの世界に戻るわけではない。

 関連して、「垂直統合システム」などとも呼ばれる統合ITインフラ製品が登場し始めたとき、「ITの歴史は分散と統合の繰り返しだ」と言った人々がいたが、硬直的で制限ばかりの世界に戻ることを目指した製品なのであれば、使う側にとって全く意味がないし、そうした製品は少なくとも、プライベートクラウドとは無関係だ。

 組織は自らのITインフラの管理性と効率を向上する一方で、柔軟性、機動性、安定性、確実性を高められる可能性がある。「プライベートクラウド」という言葉は、こうした目標に向けた取り組みを意味するともいえる。

 プライベートクラウドは、組織ごとに最適解が異なるし、自社にとっての最適解が当初は分からないということもあり得る。だが、仮想化環境によるIT統合を出発点として、自社にとっての最適解を目指して改善していくことができる。この最適解の中には、クラウドサービスの適材適所での活用も含まれることがあり得る。

 クラウドサービスが、どれでもいいわけではなく、さらにそのままで使えばいいわけではないのと同じように、プライベートクラウドも、何らかの製品を購入して設置しさえすれば実現できるわけではないし、どう運用するかが重要になる。ただし、プライベートクラウドの構築・運用に利用できるITインフラ製品は進化を続けている。製品自体の運用の自律化、そしてITインフラとしての運用の抽象化と自動化を積極的に支援する機能の強化が進んでいる。これを活用し、運用担当者が日常的に技術的な詳細設定にかかわることなく、可能な限り「やりたいこと」をシステムに伝えることで運用していけることがポイントになる。

 こうしたことを通じて、ユーザーが求めるITリソースを迅速に提供できること、その背後で効率とコントロールを確保していくことがプライベートクラウドの目的といえる。

プライベートクラウド環境のデータ管理に必要な「3つの視点」

 上記を踏まえて、第2回の本題である「プライベートクラウドにおけるデータ管理」の話題に移る。ここでは広義のデータ管理を、

  1. データアクセスパフォーマンス
  2. データセキュリティ
  3. データ保全

の3つに分けて考えたい。

 この3つの意味でのデータ管理は、プライベートクラウドを推進する重要な理由になると同時に、プライベートクラウドの構築と運用における最大のキモだといえる。コスト効率と使い勝手を高めながらも、データ管理でどれだけコントロールを効かせられるかがポイントだ。

 次ページでは、これら3つについて考察を進める。

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