「経営計画書」のテンプレートを使って、金融機関に融資を依頼するときに必要な経営計画の立て方を解説しよう。
※この連載は「開業から1年目までの個人事業・フリーランスの始め方と手続き・税金」(望月重樹著)の第2章を、著者と出版社の許可の下、一部修正して転載するものです。内容は、書籍出版時(2014年1月現在)の法令などに基づきます。実際に開業される場合は、最新の情報をご確認ください。
開業に必要な基礎知識として、第1回は、資金計画の立て方を、第2回は必要な資金と自己資金のギャップの埋め方を解説しました。今回は、融資を受ける際に必要な「経営計画書の作り方」を伝授します。
必要資金調達のために金融機関への融資を希望するときに、避けて通れないのが経営計画書の作成です。小難しいもののように思えますが、経営計画書とは要するに、自分の考える商売のやり方を第三者に説明するためのものです。「何のために事業を行うのか」「どのような商品をどこから仕入れ、どこで、どうやって、誰が販売するのか」など、独立開業に当たって必ず考える内容を書面に表しただけのものです。
「起業したい」という個人的な希望を実現するために第三者のサポートを求めるのであれば、事業の性格や魅力についての説明を尽くすのは当然のこと。経営計画書は、相手に自分の考えていることをしっかりと理解してもらうための手段だと思ってください。
ここでは日本政策金融公庫のWebサイトでダウンロードできる「創業計画書」をテンプレートとして取り上げます(画像はクリックすると大きくなります)。
強く熱い気持ちが無いと商売は続きません。中途半端な気持ちなら、最初からやらない方がよいでしょう。「本当にこのビジネスを始めたい」「このビジネスを通じて、○○を良くしたい、貢献したい」など、自分の言葉で自分の「思い」を表現してください。
この欄にはこれまでの事業経験などについての「事実」を記入します。隠してもよいことはありませんので、ありのままを記入しましょう。具体的には、「今まで自分で事業を経営していたことがあるかどうか」「今から開業しようとする事業について、従業員としてでもよいので経験があるかどうか」「資格」「借入金の有無」を記入します。
この欄には、販売する商品・サービスを、具体的に3種類記入します。また、売り上げ全体のうち、それぞれの商品・サービスの占める割り合いを「売り上げシェア」の欄に記入します。セールスポイントの記入欄には、「製品のどこが売りなのか」「同業他社と比べてどこが違うのか」「どこにこだわっているのか」などを記入しましょう。
「どこが売りかなんて言われても……」と思うかもしれません。しかし、「売り」が無いサービスや商品に新規のお客さまはつきません。開業した後で商売が順調に伸びていくかどうかは、この「売り」や「強み」を持てるかどうかに尽きます。
自分の作る商品・サービスそのものが秀でた特長を持つものなのか、あるいは技術そのものよりも、その技術を提供する話術が自分の「売り」なのか。これらの「売り」や「強み」を認識して、それをアピールすることが、ビジネスを成功に導くための近道といえます。
この欄は、「販売先」「仕入れ先」「外注先」の主な取引先を幾つか記載します。そして、取引先の全体における占める割合を記入します。例えば、販売先の中でA商店が、売り上げ全体の80%を占めるような場合には、シェアの欄に80%と記入します。
次に、それぞれの回収支払いの条件を記入します。取引を開始する際に、この回収支払いの条件をないがしろにするケースが非常に多く見受けられます。開業した後で分かることですが、回収支払いの条件は、資金繰りに大きな影響を与える非常に重要な問題です。融資を申し込む前に、現金での回収支払いの有無や、何日締めか、決済されるのはいつなのかを、きちんと頭に入れて記入してください。
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