クラウド? オンプレミス? これからのコンテンツ共有の在り方とは場所を問わずに使えるのは当たり前(2/2 ページ)

» 2014年05月21日 18時00分 公開
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クラウドストレージへの移行に必要なあの作業を支援するツール

 マクニカネットワークスは、企業向けのファイル共有サービス「Box」と、そのBoxへの移行を支援する独自ツール「Hakonnect」を紹介した。

 Boxは、米ボックスが提供している企業向けのファイル共有クラウドサービスだ。PCだけでなくモバイル端末などさまざまなデバイスから必要な情報にアクセスし、必要に応じて編集、保存できる。また、企業向けということで、フォルダーやファイル単位のアクセス管理やログ取得、レポートといったセキュリティ機能をひと通りカバーする他、意見交換やタスク割り当てといったコラボレーション支援機能も備えている。

 マクニカネットワークスによると、既存のファイルサーバーなどからクラウドベースのファイル共有に移行する際にどうしても必要になるのが、アカウントの作成やフォルダの構成といったプロビジョニング作業だ。移行後も、人事異動などに伴ってアカウント情報をメンテナンスしていく必要がある。BoxではWebベースの管理画面によってこれらの作業が可能だが、GUIはまとめての作業が苦手だ。この煩雑な作業を避けるにはどうしたらいいだろうか。

 そんな悩みを踏まえ、プロビジョニング処理を自動化するために、マクニカネットワークスが独自に開発したツールがHakonnectだ。BOXの提供するAPIを活用し、既存のActive Directoryなどの情報をBox側のアカウントに反映させ、Box利用時の初期設定作業を大幅に簡素化する。オンプレミスのシステムとクラウド側とで別々にアカウント情報をメンテナンスしていく必要がなく、管理の手間を省くという。

 数人分の設定作業ならばすぐできるだろうが、数百人、数千人分ともなると作業負荷が膨大なものになる上、設定ミスによる情報漏えいのリスクも発生する。部署単位にとどまらず、企業全体、あるいは企業をまたいだ情報共有を実施する際には、このような見落としがちな点にも目を配っておきたい。

【関連リンク】

マクニカネットワークス Box紹介サイト

http://www.macnica.net/box/index.html/


クラウドか、それともオンプレミスか――いまだ割れる意見

 会場ではこのように、クラウドベースのファイル共有ソリューションが目立った。メンテナンスの手間や維持コストの大きさを考え、「自分たちでファイルサーバーを持ちたくない、クラウド上に置いてしまおう」というニーズが高まっているという。

 長年、クラウドベースのデータ共有に対する懸念、特にセキュリティ面での不安を抱く企業が多かったが、「最近では、クラウドに対する信頼性の向上を背景に、クラウドを前提にしたシステムが当たり前になりつつある」(ニフティ)という。

 こうしたニーズを踏まえて、富士通マーケティングでは、ニフティクラウドのインフラを基盤としたクラウドベースのファイル共有サービス「AZCLOUD ファイルサーバ」を提供している。WebDAVによるファイル共有サービスで、WindowsエクスプローラーやMac Finderからクラウドストレージにアクセスできること、国内のデータセンターに暗号化した形でデータを保存し、かつトリプルミラーの冗長化によってデータの安全性を確保していることが特徴という。

 またソルクシーズの「Cloud Shared Office」は、ファイル共有に加え、ワークフローに沿った業務の自動化、ビジネスプロセスオートメーションにも踏み込んだサービスを提供している。データの保管だけでなく、承認とそれに基づくデータの変換、社外との共有といった処理をルール化して実行できる他、保管期限に基づいてデータのアーカイブや消去といった部分まで実行できる。

 一方ノックスでは、オンプレミスにファイルサーバーを置いたまま、さまざまなデバイスからデータの閲覧、活用を可能にする「Varonis DatAnywhere」を紹介していた。一種の仮想化機能によって、データを外に持ち出すことなく、Dropboxのようなファイル共有を実現するという。

 「大事なデータを社外に置きたくないという声は根強くある。また、クラウド型の情報共有システムは従量・容量課金制を採用していることが多く、コストが読み切れない点も課題」(ノックス)。こうしたニーズに応えて、あえてクラウドストレージではなく、オンプレミス型のファイル共有ソリューションを提案しているという。

 これからのデータ共有において、モバイルデバイスも含め、端末や場所を問わずに利用できることは当たり前であり、その意味でクラウドベースのサービスには一日の長がある。ただ、クラウドベースのファイル共有サービスを採用するからといって、既存のファイルサーバーを全て廃止するケースはおそらくまれだろう。性質や用途に応じてデータを分類した上で、既存のファイル共有システムとクラウドサービスとを使い分けることが、今後のデータ共有のポイントになりそうだ。

【関連リンク】

富士通マーケティング AZCLOUD ファイルサーバ(アズクラウド ファイルサーバ)

http://www.fjm.fujitsu.com/solution/azservice/azcloud/file_server/

Cloud Shared Office

http://www.cloudsharedoffice.com/index

ノックス Varonis DatAnywhere

http://www.nox-plus.jp/topics/20140519_160.html


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