DevOpsという言葉を以前ほど目にしなくなったのは、やはり一過性のバズワードだったからなのだろうか? Publickey新野淳一氏とリクルート住まいカンパニー 内田明徳氏の対談動画で実践のポイントを視聴しながら、あらためてその重要性を判断してみてはいかがだろう。
2012年から2013年にかけて、日本国内でもビジネス部門、開発部門、運用部門が連携・協働してITサービスのリリースサイクルを加速させる「DevOps」という概念は広く浸透した。市場変化が速い現在、時間をかけてサービス設計・開発するスタイルでは、リリースしたころには既にニーズと乖離している、といったことが起こりやすくなっている。その点、リリースサイクルを加速させ、市場の声をサービスに反映しながら迅速・着実に改善していくDevOpsの基本概念は、業種を問わず、さまざまな企業で重視されているといえるだろう。
だがメディアでも社会でも、以前ほどは、この言葉に出会わなくなったのも事実だ。その理由を「バズワードだったから」と片付けることもできる。だが取材をしていると、むしろ今の時代においては「名前が必要なほど特別なことではなくなりつつあるから」「当たり前になりつつあるから」といった印象も受ける。例えばDevOpsとは無関係のテーマで企業を取材していても、DevOpsという言葉こそ出てこないが、部門間の「連携」「協働」「迅速なフィードバック」といったキーワードを、効率化や収益向上の要件としてあらゆるプレーヤーが口にする。
無論、これはDevOpsの考え方の側面の話で、例えばアプリケーションライフサイクル全体にわたる連携の実装など、技術面ではまだ決して当たり前のこととはいえない。だが以前まであった「一部の先進企業のもの」「Webサービス系の企業のもの」といった認識は確実に変わりつつある。オープンソース、商用ツール問わず、支援ツールの認知度も向上した他、Webサービス系以外の企業でも実践事例は増えつつある。今後の継続的なビジネス成長をITの力で支えていく上では、まさにブームが沈静化した今こそ、技術実装の前提となる考え方や実践のポイントを見直し、冷静に検討してみるべきなのではないだろうか。
第7回から後編として展開している特集「DevOpsで変わる情シスの未来」。今回は2014年1月、@IT編集部が主催した『DevOps時代のテスト自動化カンファレンス 冬の陣』に登壇し、好評を博したリクルート住まいカンパニーの内田明徳氏と、企業ITに豊富な知見を持つPublickey新野淳一氏を招き、「ビジネスゴールを実現する上で、IT部門は何を考え、何を行うべきなのか」、あらためて対談を行った。具体的には、以下の6トピックを掘り下げている。
「着任当初は個別最適でシステム開発が進んでおり、効率的とはいえなかった」と語る内田氏。ではDevOpsに向けて、いったいどのようにして組織運営を改善・高度化していったのか? 対談の模様を動画でお届けする。
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