NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は5月29日、「クラウド型ネットワークサービス」を日米で発表した。これはセキュリティやWAN高速化などの付加価値ネットワーク機能をサービスとして提供するもの。NFVの利用でオンデマンドに提供される。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)が5月29日、「クラウド型ネットワークサービス」を日米で発表した。これはセキュリティやWAN高速化などの付加価値ネットワーク機能をサービスとして提供するもの。同社の通信サービス「Arcstar Universal One」のオプションサービスという位置付けだ。
UTMやWAN高速化装置を通信事業者側に置いて、顧客のために運用代行しているケースは従来もあった。だが、NTT Comは今回これらを完全にサービスとして提供、それを顧客がセルフサービスポータルで自ら設定して即座に利用を開始し、設定変更もできるようにしている。単機能限定ではなく複数の機能をクラウド的に、世界規模で提供できるのは同社だけだとしている。
提供開始されているサービスは、WAN高速化、ファイアウォール(UTM)、IPsec VPN、SSL VPNの4種。今後もデータ解析に基づくセキュリティ対策サービスなど、顧客ニーズを踏まえてサービスを増やしていくという。提供中のサービスについて、NTT Comはどのベンダの製品を使っているかを公表していない。同社は、随時最適な製品を選択していくとしている。
新サービスは、190以上の国/組織で提供するという。想定する顧客も、当初は国際的な大企業だ。
新サービスは、NTT Comが2014年1月に買収した米Virtela Technolgy ServicesのNFV(ネットワーク機能仮想化)技術を使っているという。Virtelaは、NFVにどのような技術を用いているかを公表せず、自社開発とだけ説明している。NTTコミュニケーションズ ネットワークサービス部 クローズドネットワークサービス部門 部長の大井貴氏は発表の場で、「SDNやNFVというとサービスプロバイダ向けの言葉のように聞こえるが、われわれは顧客にとってのメリットを提供する」と話した。
顧客にとっての主なメリットは次のとおり。資産を持つ必要がなく、サービスを支える機器あるいはソフトウェアの運用はユーザー組織側が行わなくていい。課金は基本的に日単位であり、最低契約期間はないため、いつでも利用を停止することができる。機器を調達して運用するのに比べて短納期(というより即座に利用可能)であり、設定変更も即座に反映される。ユーザー組織は、サービスの利用開始および設定変更を、ポータル上で実行できる。ユーザー組織は、セキュリティなどのポリシーを拠点ごとに設定して適用できる自由度を保ちながら、管理の統合化が可能で、世界各国に多拠点を展開する企業では困難なガバナンスの維持がしやすい。
ほかにも、全世界で提供するサービスであるが故のメリットがあるという。例えばインターネット接続は、新サービスの1つであるファイアウォールサービスを使えば、自動的に、各拠点に近いNTT Comのインターネットゲートウェイから外に出られるようになる。これにより、拠点のユーザーはインターネットを快適に使え、一方で各拠点のネットワーク接続管理をシンプル化するとともに、統一運用ができるという。
NTT Comでは新サービスを海外では2014年7月、国内では8月に販売開始する。ただしサービスの運用はすでに開始されていて、100社以上が利用しているという。
なお、NTT Comは2013年12月に、同じくArcstar Universal Oneのオプションとして、Arcstar Universal One Virtualというサービスを発表している。サービスを仮想化していくという方向性では、この2つのサービスは似通って見える。だが、2つのサービスに現在のところ関係はなく、Arcstar Universal One Virtualはプロジェクト単位で社外のユーザーなどを柔軟につなげるといったユースケースを想定したものだとNTT Comでは説明している。
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