マイクロソフトのクラウドサービス版Office「Office Online」は、Officeの代わりとしてどこまで使えるのか。主な機能などを比較してみた。
2014年4月9日でWindows XPの延長期間サポートが終了したことは、さまざまなメディアを巻き込んだ大きな騒ぎとなったことから多くの人が知るところとなっている。しかしその陰で、Office 2003のサポートも終了していることを知らない人も多いようだ。Officeの場合、「バージョンを最新にしても使わない機能が増えるだけ」とバージョンアップに積極的になれなくても、Windows OSをバージョンアップすると、古いOfficeがサポート外となり、結局、Officeもバージョンアップしなければならなくなる。ITコストの削減のために脱Officeを検討する企業や自治体も多いようだが、過去の資産などを考えると難しいようだ。フリーソフトウェアやサードパーティ製のOfficeを使ってコストを削減できればいいのだが、互換性が問題になることも多い。
マイクロソフトが提供する「Office Online」という、クラウドサービス版のOfficeが利用できれば、Windows OSをバージョンアップしてもOfficeの導入費用を削減できるかもしれない。マイクロソフトが提供していることから、フリーソフトウェアやサードパーティ製のOfficeに比べて、高い互換性が期待できる。そこで本稿では、Office Onlineの機能や制限事項などについて検証してみた。
Office Onlineというとマイクロソフトの新しい製品(サービス)のように思えるが、実は2011年6月から正式に提供されてきた「Office Web Apps」の名称を2014年2月に変更したものだ(Office Web Appsについては「無料のオンラインOfficeアプリ「Office Web Apps」は使えるのか?」参照のこと)。
Office Web Appsから大きく機能が変更されたわけではないが、Office Onlineへの名称変更に伴い、ポータルページ(http://office.com/)から簡単に各Office機能が呼び出せるようになるなど、使い勝手が向上している。Microsoftアカウントが必要となるが、WebブラウザーのみでOfficeの主だった機能が利用できる便利なクラウドサービスとなっている。対応しているWebブラウザーは、Windows Internet Explorer 7以降、Google Chrome、Mac用のSafari 4以降、Firefox 3.5以降。Google Chromeについては、Chrome上で動作するアプリ(Office OnlineのWordやExcel、PowerPointなどを起動するためのショートカット)も提供されている。
用意されているパッケージは、Word Online/Excel Online/PowerPoint Online/OneNote Online/OneDrive/Outlook.com/People/カレンダーである。ソフトウェアのラインアップとしては、パッケージ版のOffice Home & Business相当となっている。なお個人利用が前提で、ビジネス利用ではOffice 365のライセンスを購入する必要がある点に注意したい(Office 365については、「クラウド版 グループウェア サービス Office 365」参照のこと)。Office 365の使用料は、利用する機能やサポートされる最大ユーザー数などによって異なってくる。料金については、「ご購入の方法のページ」を参照していただき、Office 365の販売店などに見積もりをお願いするのが確実だろう。
office.comをWebブラウザーで開くと、各オンラインアプリケーションを開くためのタイル(リンク)が表示された画面が表示される。
Office Onlineは、OneDrive上のOffice文書(Word/Excel/PowerPoint)が編集対象となる。そのため、編集したいローカルにあるOffice文書は、事前に自分のMicrosoftアカウントのOneDriveにアップロードしておく必要がある(もしくは、Office Online上で新規に文書を作成することになる。この文書の保存先も自分のMicrosoftアカウントのOneDriveになる)。
OneDrive上のOffice文書を開くと、文書が対応するWord Online/Excel Online/PowerPoint Onlineで開かれる。WordのドキュメントとPowerPointのプレゼンテーションの場合、「閲覧表示」の状態で開かれる。閲覧表示では、文書の編集はできないものの、高い再現性での表示が行える他、コメントや検索、印刷などが行える。校正履歴機能によって修正が加えられている場合は、最終版のみが表示され、校正の履歴は確認できない。
文書の編集を行う場合は、閲覧表示で「ドキュメントの編集/プレゼンテーションの編集」メニューをクリックすると、「Wordで編集」/「PowerPointで編集」、「Word Onlineで編集」/「PowerPoint Onlineで編集」の選択が行える。「Wordで編集」/「PowerPointで編集」を選択すると、ローカルにインストールされたWord/PowerPointが起動されて、直接OneDrive上のドキュメント/プレゼンテーションが編集できる。編集後、「保存」を実行すれば、自動的にOneDrive上に保存される。「Word Onlineで編集」/「PowerPoint Onlineで編集」を選択すると、Word Online/PowerPoint Onlineの編集表示に切り替わり、ドキュメント/プレゼンテーションの編集が行える。なおスプレッドシートは、最初からExcel Onlineの編集表示で開かれる。ローカルのExcelで編集したい場合は、Excel Onlineのメニューにある「Excelで開く」をクリックすると、ローカルのExcelで編集が行える。
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