EMCジャパンは6月18日、Software Defined Storageに関するEMCの取り組みを説明した。このうちScaleIOについてお伝えする。
EMCジャパンは6月18日、Software Defined Storage(以下、SDS)に関するEMCの取り組みを説明した。このうち7月1日に国内提供開始のSDSコントローラ「ViPR 2.0」については、「ビッグデータ基盤実現に向かうSoftware Defined Storageコントローラ」という記事で紹介した。本記事ではEMCのSDSに関するもう1つの取り組みであるScaleIOについて、同社の創業者であり、現在、EMCのアドバンスドソフトウェア部門SDS/ScaleIO担当ジェネラルマネージャー兼バイスプレジデントを務めるボアーズ・パルギー(Boaz Palgi)氏から追加的に得た情報を含めてお伝えする。
ScaleIOは汎用コンピュータにインストールしてスケールアウト型のブロックストレージがつくれるソフトウェア。国内では6月18日に販売開始で、ライセンスは1TB当たり9万9750円。最小構成は12TBなので、119万7000円からということになる。ストレージ装置のベンダであるEMCは、米国における説明で「Bring Your Own Hardware」という表現を使っていた。つまり、専用ストレージ装置が嫌いな人、あるいは積極的に容量当たりコストを下げていきたいユーザー組織/用途のための製品という位置付けだ。サービス事業者/企業の双方をターゲットとしている。パルギー氏は、「(IDCのいう)第2のプラットフォームから第3のプラットフォームへの移行を助ける製品」とも説明する。
ソフトウェアでブロックストレージ機能を提供する製品には多数の選択肢がある。だが、パルギー氏は他の製品とは異なるレベルのパフォーマンスと拡張性を、ScaleIOで実現したという。ScaleIOでは数千台のコンピュータの内蔵ディスクドライブをまとめ上げ、数PBのストレージ容量を提供できる。また、ストレージノードの追加により、リニアに総I/O性能を向上できるという。
パフォーマンスと拡張性を高めるために、ScaleIOで行っていることの1つは、既存のストレージアクセスプロトコルを使わない、あるいは拡張していることだ。パルギー氏は詳細を語ろうとしないが、ScaleIOにアクセスするコンピュータに専用の特殊なドライバソフトウェアを導入する必要がある。「iSCSIでは遅すぎる」(パルギー氏)。ただし、特殊ドライバをインストールしさえすれば、ScaleIOはこのコンピュータからSCSIデバイスのように見える。つまり、例えば仮想化環境で使う場合には、仮想化ホストにこのドライバを導入すれば、その上の仮想マシンは直接接続のディスクドライブとして考えればいい。
パルギー氏に、「第3のプラットフォームへの移行を助ける製品というが、どこからでも必要に応じてアクセスできるということが第3のプラットフォームの属性の1つだとすれば、専用のソフトウェアを導入しなければならないことは障害にならないのか」と質問してみた。同氏は、「既存のストレージ製品/ストレージアクセスプロトコルでもホストバスアダプタのドライバやマルチパスソフトウェアを導入する。それと変わらない」と答えた。
ScaleIOの設計コンセプトの1つは、ScaleIOのストレージノードとして利用するコンピュータ上で、仮想化環境を動かすなど、演算処理もできることにある。汎用コンピュータを使って統合インフラを構築すれば、ハードウェア、スペース、電力などのコストをさらに積極的に削減できるという。
EMCジャパンは併せて、ScaleIOを汎用サーバにインストールし、設定したインフラパッケージとして提供する「Elastic Cloud Storage Appliance」を発表した。2014年第4四半期に提供開始、価格は個別見積もりという。
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