「RHEL7はクラウド時代のデフォルトエンタープライズOS」――ハイブリッドクラウドのベースOSを担うことを目指し、Red Hat Enterprise Linux 7が日本国内でもリリースされた。
2014年7月10日、レッドハットは、日本国内におけるRed Hat Enterprise Linux(RHEL) 7の提供を発表した。RHELは、Linuxディストリビューションの1つで、エンタープライズ用途向けの機能やサポートが含まれている。最新版となるRHEL7は米国で6月12日に発表している。
RHEL7では、デフォルトファイルシステムがExt4からXFSに変更になり、また、システム構成設定は長らく使われていたinitからsystemdになった。XFSは単一ファイルシステムで最大500TBが扱える点が特徴。systemdはマルチコアを前提としたロードが実行できるため、initと比較して起動時間が速い。「init用に記述したスクリプト類はそのままsysytemdでも動作する」(米レッドハット プリンシパルプロダクトマネージャー 鶴野龍一郎氏)という。
また、マイクロソフトが提供するディレクトリサーバーであるActive Directoryとの連携も保証範囲に含まれるようになった。これは、マイクロソフトがSamba開発コミュニティと相互連携に協力して実現したものを、同社がエンタープライズレベルのSLAで保証するものになる。
さらに、最近注目を集めるDockerの利用を前提とした環境も提供する(関連記事:「レッドハット、クラウド時代の新たな抽象化レイヤとしてDockerコンテナを推進」)。Dockerでは、アプリケーションだけでなく、アプリケーション実行環境など、従来OS側のユーザーランドで管理してきたライブラリ類を一括して単一のイメージのように管理できる。このため、OS側が持つ環境に強く依存せずにアプリケーション移植が可能になる。米レッドハットでは、Dockerイメージの認定プログラムも発表しており、同社が保証するアプリケーションイメージを利用することもできる。
一方で、Dockerコンテナを使ったアプリケーションを運用する際、OS側の環境は軽量であっても十分ということになる。こうした用途のために「Red Hat Enterpirse Linux Atomic Host」という、通常のRHELよりもフットプリントが小さなOSイメージを提供する予定もある。現段階ではまだリリーススケジュールは公表されていないが、鶴野氏によると、1年以内には提供のアナウンスが行われる見込みだという。
その他、細かなところでは、tunedによる自動チューニング機能や、OpenLMIによる複数ハードウェア情報の一括管理機能などが盛り込まれている。また、インストーラーのAnacondaも改良され、「最大でも3回程度の画面遷移でセットアップが完了する」(鶴野氏)ようになっている。また、アップグレードも従来よりも容易に行える「インプレイスアップグレード」を実現した。
レッドハットでは、2014年8月をめどにエンドユーザー向けの研修プログラムを開始、パートナー向けの育成プログラムも別途実施する予定だという。
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