それでは、今後、オープンデータやそれを取り巻くわれわれのビジネス環境、業界の動きはどのようになるのでしょうか?
政府のデータカタログサイトが2013年12月に立ち上がってまだ半年、わが国がオープンデータに本腰を入れ始めたのは、つい最近のことです。政府の成長戦略では、2014〜15年度を「オープンデータの集中取り組み期間」と位置付けており、今年度と来年度にかけて行政のデータ開放が進んでいくものと考えられます。
一方、オープンデータの本格的な推進を図るための大きな課題として、行政側がどのようなデータにニーズがあるのか、把握できていないことが挙げられます。
オープンデータを実践するためには機械判読化や権利処理など、さまざまな手間が必要であり、利用されるか分からないデータをやみくもに公開することは行政職員の業務負荷になりかねません。
自治体職員からは、民間事業者にデータ公開ニーズを教えてほしいという意見をよく耳にします。そうすることで、行政側も何のデータをどのように公開してよいか判断がしやすく、かつ、オープンデータを行う意義を実感できるそうです。
民間側からすれば、行政がどのようなデータを持っているか分からないという意見もありますが、まずはニーズを挙げることが重要です。
DATA.GO.JPには、「意見受付コーナー」が設けられており、Webフォームからデータ公開ニーズを投稿することができます。
当面は、いきなり新規ビジネスを志向するというよりも、オープンデータを活用して既存事業を強化する試みが進むと想像されます。例えば、マーケティングの分析変数にオープンデータを取り入れて予測精度を向上させることや、情報販売サービスにおいてはオープンデータを組み込んで付加価値を付けることなどが考えられます。
一方、オープンデータはグローバルビジネス推進の可能性も秘めています。2013年度、G8サミットで合意した「オープンデータ憲章」では、各国が共同で公開していくデータセットが定められています。日本政府もこの合意に基づいてデータの公開を進めていく方針としています。
すなわち、日本においてオープンデータを活用して成功したビジネスモデルは、他のG8諸国でも同様のデータを使って、ビジネス化できる可能性があると考えられます。
本稿を機に、社内でオープンデータに関するアイデアソン(特定のテーマについてアイデアを出し、まとめていくワークショップ)を実施してはいかがでしょうか。
次回は、企業にとってのオープンデータ、企業情報システム担当者が知っておくべきビジネスモデルの可能性などを紹介、併せてオープンデータに取り組む際の留意点として、プライバシーの議論やデータの価値に関する考え方についても示します。
本稿は下記2名の共同執筆によります。
株式会社 日立コンサルティング シニアコンサルタント
株式会社 日立コンサルティング コンサルタント
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