にわかに話題になり始めた「オープンデータ」だけれど、その現状は? 実際には何ができる? Linked Open Dataとは? ざっと理解するオープンデータのこれからと、ビジネス創出の可能性。
近年、企業の内部データやSNSなどのWebデータを分析し、マーケティングや新サービスに活用する「ビッグデータ」がビジネスの手法として広く知られるようになりました。また最近では、自組織の保有するデータだけでなく、外部リソースとして行政機関が公開する「オープンデータ」を組み合わせ、新たなビジネスを立ち上げる動きが欧米を中心に活発化しています。
本稿では、このオープンデータとはそもそも何であり、これを活用してどのようなビジネスが生まれているか、今後、オープンデータを活用したビジネスを検討するに当たり、必要となる技術は何かについて、最近の動向と今後の展望も含め概説します*。
*編集部注: オープンデータに関連して、プライバシーに関する議論などが話題になっています。これについては別稿で紹介することとし、本稿では、まず、オープンデータそのものがどのようなものかを理解するための情報を中心に紹介します。
2014年6月に、政府は成長戦略の具体的施策をまとめた「日本再興戦略(改訂版)」を公開しました*。この中で、IT分野の戦略の一つとして挙げられているのが、「公共データの民間開放(オープンデータ)」です。
では、オープンデータとは何か?
オープンデータとは、組織が自らの保有するデータをWeb上に公開する取り組みのことです。本来はその組織が官民のいずれであるかを問いませんが、本稿では、行政機関が保有するデータの公開にフォーカスして説明します。民間企業によるデータ公開については、次回、詳述する予定ですので、そちらを参照ください。
政府のオープンデータ政策の目的としては、予算や調達情報を公開し、行政の透明性を高めること、白書や統計、地図などのデータを公開し、産業界での二次利用を通じてビジネスの活性化を図ることが挙げられます。また、政府は2015年度末までに他の先進国と同水準のデータ公開を行うことを達成目標とし、2013年12月に政府のデータカタログサイト「DATA.GO.JP」*を立ち上げるとともに、データ公開の具体的な数値目標として「1万件のデータセット**の公開」を定めています。2014年7月14日時点で、DATA.GO.JPでは、1万411件のデータセットが公開されており(図1)、すでに指標上はクリアしていますが、米国のDATA.GOVの11万912件、英国のDATA.GOV.UKの1万8866件と比較すると、より意欲的な目標の設定が必要といえます。
* DATA.GO.JP 各府省が公開しているデータをカタログ化して公開している政府の特設サイトです。テキストによる検索機能やタグ情報などによる絞り込み機能を提供することで、データへのアクセス性を向上させています。また、各データセットにライセンスなどのメタ情報が付与されている点も、大きな特徴です。
** データセット 同一のドキュメントに属する複数のファイルをまとめたデータの集合を「データセット」といい、オープンデータの取り組みにおけるデータの整理単位の一つとなっています。
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