シスコが新世代UCSを発表、アーキテクチャをデータセンター以外にも展開小規模環境やクラウド環境にも

シスコシステムズは、インテルの最新CPU「Intel Xeon E5-2600v3」を搭載したサーバー製品「Cisco Unified Computing System」(Cisco UCS)の新シリーズを発表した。

» 2014年09月19日 18時00分 公開
[高橋睦美@IT]

 シスコシステムズは2014年9月18日、サーバー製品「Cisco Unified Computing System」(Cisco UCS)の新シリーズを発表した。

 今回の新製品群は、米国では9月4日に発表されていたもので、Cisco UCS登場から数えて第4世代目に当たる。仮想化技術を活用するデータセンター向けの中核製品であるラックサーバーやブレードサーバーについては、インテルの最新CPU「Intel Xeon E5-2600v3」の搭載や性能のさらなる強化を図った。加えて新たに、中小規模オフィスやリモートサイトなどでの利用を想定した「Cisco UCS Mini」と、より高いスケールアウト能力が求められるクラウドコンピューティング環境向けの「Cisco UCS Mシリーズ」という2つのラインアップを追加している。

シスコシステムズ データセンター/バーチャライゼーション事業担当執行役員 俵雄一氏

 同社 データセンター/バーチャライゼーション事業担当執行役員 俵雄一氏は、「(Cisco UCSの販売ターゲットの)核となるデータセンターだけでなく、エッジやクラウドスケールのコンピューティングなど、あらゆるエリアのあらゆるアプリケーションで効果を発揮できるようにポートフォリオを追加した。その意味で、社内では今回の新製品群を『UCS 2.0』と表現している」と述べた。

 Cisco UCSの特徴は、FCoE技術などを活用したユニファイドファブリックの実現と、「Cisco UCS Manager」による統合管理だ。シスコシステムズ APJ データセンター バーチャライゼーション UCS日本担当プロダクトマネージャーの中村智氏は、サーバーにまつわる各種設定を「サービスプロファイル」という形で論理的に定義することによって、「従来のブレードサーバーで発生していた、フレキシビリティに欠け、運用管理がばらばらで煩雑になるといった“つらい経験”を解消できるシステムになっている」と述べる。俵氏も、「ポリシードリブンで運用でき、管理を圧倒的に簡素化できることが評価のポイント」と説明し、それが、Cisco UCSが発表から5年足らずで3万6500社を超える顧客で導入され、x86ブレードサーバー市場で米国やオーストラリアといった国々でシェア1位を獲得している理由だとした。

新ラインアップの1つ、「Cisco USC Mini」。ブレードサーバーとファブリックインターコネクトをコンパクトにまとめている

 新たに加わったラインアップのうち、エッジ向けと表現されているCisco UCS Miniは、サーバー数台〜十数台といった小規模環境にも、Cisco UCSの簡素な管理を提供することを想定した製品だ。ブレードサーバーの「Bシリーズ」に加え、小型化した「6324ファブリックインターコネクト」を組み合わせている。日本市場で特に要望の高い100V電源にも対応しており、「これを日本市場向けの起爆剤とし、国内での販売を加速させていきたい」(俵氏)という。

 もう一つのMシリーズの「M」は「Modular」を意味する。その名前の通り、容易にスケールアウトすることを狙った製品だ。2Uサイズの一つのシャーシには最大8台のコンピューティングカートリッジを搭載でき、各コンピューティングカートリッジには2台のサーバーを搭載できるため、計16台のサーバーを収容できる。またMシリーズは、Bシリーズのデザインをさらに進化させており、「コンピューティングの部分はCPUとメモリだけで、外部ネットワーク接続やストレージなどは外に出して共通部材化した。これに、ASICで実装したシステムリンクテクノロジーを組み合わせることで、CPUから共通リソースに対してストレスなくアクセスできるようにしている」(中村氏)。

 俵氏は、従来の製品群に加え、Cisco UCS MiniやMシリーズが加わったことで、「エッジやクラウドスケールの環境に新しいアーキテクチャを持ち込んだ」とコメント。こうしたインフラに、同社が提唱するApplication Centric Infrastructure(ACI)を組み合わせることで、あらゆる環境で、迅速なイノベーションを支えていくとした。

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