OpenStackを採用して、ITインフラを構築して組織に共通する点は何か。これをはじめ、OpenStackコミュニティの活動の進展、OpenStackの普及状況、2015年秋のOpenStack Summitの開催場所として東京を選んだ理由などを、OpenStack Foundation幹部に尋ねた。
OpenStackの採用は、いわゆるテクノロジー企業から、一般の大企業に広がってきたという。ではどういう企業が、どのような理由で使い始めているのか。これをはじめ、OpenStackコミュニティの活動の進展、OpenStackの普及状況、2015年秋のOpenStack Summitの開催場所として東京を選んだ理由などを、OpenStack Foundation幹部に尋ねた。質問に答えてくれたのは、OpenStack Foundationのエグゼクティブ・ディレクター、ジョナサン・ブライス(Jonathan Bryce)氏、ローレン・セル(Lauren Sell)マーケティング&コミュニティサービス担当バイスプレジデント、コミュニティマネージャーのトム・フィフィールド(Tom Fifield)氏だ。インタビューは2015年12月に実施した。
―― ブライスさんに前回インタビューしてから、10カ月ほど経ちましたが、この間、OpenStack Foundationの活動はどのように進展しましたか?
ブライス 私たちは、開発コミュニティの成長、OpenStack利用の成功事例の発掘、ソフトウェアの新機能の開発に力を入れていますが、その全てにおいて、急速な進展がありました。
過去10カ月に、4月のIcehouse、10月のJunoと、2回のソフトウェアリリースを行いました。例えばHadoopクラスタの運用を自動化できる新機能(Sahara)が加わり、MySQL、Postgres、MongoDBなどのデータストアの運用を自動化する機能(Trove)が進化しました。他にもたくさんの技術的進化があります。
ユーザー事例に関しては、OpenStack Summitを2回開催しました。2014年5月のアトランタ、11月のパリです。どちらにも素晴らしいユーザーが登場して話をしてくれました。アトランタでは金融機関のWells Fargo、ディズニー、Sony PlayStation Network、パリではBMW、モバイル広告のTapjoy、CERN(欧州原子核研究機構)などです。
他にもたくさんのユーザーが使ってくれていて、とてもうれしく思っています。私たちがこのソフトウェアをつくっている理由は、たくさんの人たちが利用し、自らの仕事に違いをもたらしてもらうことですから。
セル この点で私が感じる2014年の変化は、ユーザーの種類に変化が見られることです。テクノロジー企業や教育機関に留まらず、金融、流通、製造など、従来型の産業での導入が広がってきました。
―― エンタープライズユーザーに、共通に見られる特徴はありますか?
ブライス ええ、皆、「もっと素早く立ち回りたい」と話しています。Software Defined Networkingの言い方を借りれば、私たちは、Software Defined Economyの時代に突入しています。誰もがもっと速く動きたいと考えていて、このためにソフトウェア開発に力を入れています。これにより、研究開発を加速化し、顧客データの活用を迅速化し、製品を高速に開発して、競合他社に打ち勝とうとしています。
これこそ、彼らがOpenStackのようなクラウド技術を活用する理由です。今日の世界で勝ち残っていくためには、素早く立ち回らなければならないと考えています。
OpenStackの現在の最大の用途は、ビッグデータ分析です。Hadoopを使うような典型的なビッグデータもありますし、CERNのように調査研究のためのビッグデータもあります。どこを見ても、組織はかつてないほど大量のデータを扱わなければならなくなっています。これほど大量だと、従来のツールや技術では処理しきれません。OpenStackとその他の新技術は、これまでにできなかったことを可能にしているのです。
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