しばしば更新版のリリース前に攻撃可能な脆弱(ぜいじゃく)性が公表されてしまうFlash Player。安全が確認できるまで無効化するには? Internet Explorer(IE)向けの手順を解説する。
対象ソフトウェア:Flash Player、Internet Explorer(いずれもWindows OS用)
2015年1月中旬からの約1カ月間で、Windows用のFlash Playerに対して、4回もセキュリティパッチがリリースされた。これは立て続けにFlash Playerの脆弱(ぜいじゃく)性が発覚したためだ。
その中には、攻撃可能なプログラムコードの方が先に流布してしまう「ゼロデイ」の脆弱性もあった。こうした状況だと、パッチや更新版のインストールが間に合わない事態もあり得る。そんなときは、Flash Playerをアンインストールするよりも、一時的に無効化する方が手軽で簡単だ。
また、アップルがiPhone/iPad/iPod touch(iOS端末)でFlash Playerをサポートしていないことから、Flash Playerが必須のWebページは以前より減っているようだ。であれば、セキュリティに厳しい環境では、普段Flash Playerを無効化しておいて必要な時だけ有効化する、といった運用もあり得るだろう。
Flash Playerを無効化する手順はWebブラウザーごとに異なる。そこで本稿では、WindowsのInternet Explorer(IE)を対象にFlash Playerの無効化手順を説明する。Google ChromeやMozilla Firefoxでの無効化手順は、右上の関連記事を参照していただきたい。
本稿では、Internet Explorer(IE)でFlash Playerを無効化する方法として、次の2つの方法を説明する。
1台かせいぜい数台のPCが対象なら前者の方法、Active Directory管理下の複数のPCが対象なら後者の方法がそれぞれ適している。
以下ではIE11のスクリーンショットを掲載している。ただし特記した手順を除けば、IE7〜IE10でも操作方法は変わらない。
IE向けFlash PlayerはIEのアドオン(ActiveXコントロール)として実装されている。そのため、IEのアドオン管理用画面からFlash Plyerのアドオンを無効化できる。
上記の手順を完了したら、本当にFlash Playerが無効化されたか確認してみよう。それには、アドビシステムズ提供のFlash Playerバージョン確認用ページを開き、以下の(2)の部分にバージョン番号が表示されないことを確認すればよい。
上記の無効化手順は、ログオン中のユーザーだけに反映される。つまり、別のユーザーアカウントでも無効化するには、そのアカウントでログオンして同じ設定を行う必要がある。またIEのコンポーネントを利用しているアプリケーションでは無効化できない。
グループポリシーでIE向けFlash Playerを無効化するには、まずFlash Playerに割り当てられている「クラス識別子(CLSID)」を確認する必要がある。これは前述したIEの「アドオンの管理」ダイアログで調べることが可能だ。
[コピー]ボタンを押してクリップボードにコピーされた情報は、メモ帳などのテキストエディターにペーストする。そこから「Class ID:」の右側にあるGUID形式の文字列を控えておく。
次にグループポリシーエディターで対象のグループポリシーオブジェクトを開き、Flash Playerのアドオンを無効化するための設定を反映する。このとき、PC単位で無効化したければ[コンピューターの構成]を、ユーザーアカウント単位で無効化したければ[ユーザーの構成]を最初に選択する必要がある。
上記手順を完了したら、対象のクライアントPCで強制的にグループポリシーを適用してみよう。それには管理者権限で起動したコマンドプロンプトで「gpupdate /force」と実行すればよい。その後、同じPCでIEを起動し、以下のように「アドオンの管理」ダイアログでFlash Playerが無効化されていることを確認する。
上記の無効化手順では、IEのコンポーネントを利用しているアプリケーションでFlash Playerを無効化できない。
IEの「アドオンの管理」ダイアログでFlash Playerを有効化するには、[Shockwave Flash Object]を選んで[有効にする]ボタンをクリックする。グループポリシーで無効化した場合は、Flash Playerのクラス識別子のエントリを削除する。
注意すべきは、有効化する前にFlash Playerを最新版に更新して、既知の脆弱性を解消しておくことだ。ただ、Windows UpdateやFlash Playerの自動更新機能をデフォルトのままオンにしていれば、たとえFlash PlayerそのものをIE上で無効化していても、最新版に更新されているはずだ。
逆に自動更新を無効化している場合は要注意である。有効化してすぐあちこちのWebページをブラウズすると、既知の脆弱性を狙った攻撃を受けてしまう恐れがあるからだ。
手動でIE向けFlash Playerを最新版に更新する方法は、Windows OSによって異なるので注意が必要だ。
■更新履歴
【2015/03/16】IE向けFlash Playerを最新版に更新する方法を、Windows OSごとに分類して記述しました。
【2015/02/09】初版公開。
■この記事と関連性の高い別の記事
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.