OS X/UbuntuでASP.NET 5アプリを動作させるまでの手順をステップバイステップに解説していく。
powered by Insider.NET
2014年11月に開催されたオンラインイベント「Connect」では、ASP.NET 5(旧称ASP.NET vNext)のオープンソース化/クロスプラットフォーム化が大きな話題となった。従来はWindowsプラットフォーム上でしか動作しなかったASP.NETが、新バージョンではOS X(Mac)、Linux上でも動作するようになった。
本連載では、実際にASP.NET 5をOS X/Linux上で動作させながら、Visual Studioを使わずにASP.NET 5アプリをどのように作成していくのか。その基本を見ていくことにしよう。なお、OSとしては以下を使用し、MacBook Proで動作しているVMware Fusion上にそれぞれ仮想マシンを作成して、その上で実際の動作を確認している。
今回はASP.NET 5を実行するための環境をOS X/Linuxにインストールし、配布されているサンプルコードを実行してみる。
従来のASP.NETは、IISおよび.NET FrameworkのSystem.Web.dllファイルに依存していたが、ASP.NET 5ではこの路線から脱却することで、ハイパフォーマンス/モジュール構造/フレームワークのサイドバイサイド実行/クロスプラットフォーム性といった特徴を持つフレームワークへと生まれ変わった。詳細は、2014年11月に行われた業開中心会議での井上章氏によるセッション「ASP.NET新時代に向けて 〜 ASP.NET 5 / Visual Studio 2015 基礎解説 〜」というセッションや、そのセッション資料などを参照してほしいが、OS X/UbuntuでASP.NETが動作するという観点で、ASP.NET 5のランタイムを構成する要素をおおざっぱに整理すると次のようになる。
OS X/Ubuntuの上にはXRE(Cross-platform Runtime Environment)と呼ばれる層が位置する。XREに関連する要素をもう少し詳しく示したのが以下の図だ。
ここで用語を整理しておこう。
ASP.NET 5では、オープンソースな開発を推進することで、monoあるいはCore CLRといったクロスプラットフォームな.NETランタイム実装の上に、Windowsに依存しないWebアプリ用フレームワークとして構築されている。その核となるのが上記のXRE/KVM/KPMといった開発/実行環境とその周辺ツールだ。
では、OS X/UbuntuへのXREのインストールに話を移そう。まずはOS Xから。Ubuntuへのインストールに興味ある方は「UbuntuへのXREのインストール」まで飛ばしてくださって構わない。なお、本連載ではターミナルに表示されるプロンプトは「$」に統一する(OS X/Ubuntu共に)。
*1 旧称は「KRE」(K Runtime Environment)。この後で使用するkvmコマンドも将来的にはdotnetコマンドに名称が変更されるなど、「K」で始まるツールの名称は大きく変わる予定だ。なお、この「K」はASP.NET 5の礎となっている、OWIN(Open Web Interface for .NET。WebアプリとWebサーバーの疎結合化を実現するインターフェース仕様)のマイクロソフトによる参照実装である「Katana Project」の頭文字である。
Copyright© Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.