以下では、OS XにXREをインストールする方法を見ていくが、その前に必要なものをまとめておく。
OS XでASP.NET 5を動作させるには、その実行環境と周辺ツールとなるXRE(KVM、KPMなどを含む)のインストールが必要になる。そして、これらをインストールするには以下がOS Xにインストールされている必要がある。
「コマンドライン・デベロッパ・ツール」(以下、コマンドラインツール)はHomebrewと呼ばれるOS X用のパッケージ管理ソフトウエアで必要となる。これはOS XにXcode(OS Xで動作する開発環境)をインストールすると同時にインストールされるが、コマンドラインツール単体としてもインストール可能だ。
monoは.NET Frameworkのオープンソース実装であり、本稿執筆時点ではOS XでASP.NET 5を動作させるためにはmonoが必要となる。ただし、Homebrewを使用してKVMをインストールする際に適切なバージョンのmonoが自動的にインストールされるので、明示的にこれをインストールする必要はない。
GitHub上のASP.NETのレポジトリに掲載されている「ドキュメント」には、この他にもbash/zshのいずれか、curlも要件に挙げられているが、OS X 10.10.2では特にこれらのインストール作業は不要だ。
では最初に各種のツールをインストールしていこう。
次の画面例のように、ターミナルで「clang」(もしくは「gcc」)というコンパイラーコマンドを呼び出してみよう。このとき、それらがインストールされていなければ、コマンドラインツールをインストールするかを尋ねるダイアログが表示される(※インストール済みの場合は、ダイアログは表示されず、「error: no input files」などと表示される)。必要に応じて[Xcode を入手]ボタンか[続ける]ボタンをクリックしよう。前者をクリックすると、Xcodeとともにコマンドラインツールもインストールされる。後者をクリックすると、コマンドラインツールのみがインストールされる。
コマンドラインツールがインストールされたら、Homebrewをインストールする(次の画面はその例だ)。詳細なドキュメントはHomebrewのインストール手順を説明したページ(英語)を参照のこと。単純にはHomebrewのホームページに記載されているスクリプトをターミナルから入力するだけだ。
Homebrewのインストール後には、「brew doctor」コマンドを実行して、正常にインストールができているかの確認をしておこう。「Your system is ready to brew.」とメッセージがコンソールに表示されればOKだ。
コマンドラインツールとHomebrewのインストールができたら、XREをOS Xへインストールする。
Homebrewを使ってXREをインストールするには、以下のコマンドラインを入力する。最初の行でフォーミュラ(=インストール手順を記述したRubyスクリプト)を入手し、次にそのフォーミュラを使って実際のインストールを行う。これにより、KVM(K Version Manager)およびXRE(Cross-Platform Runtime Environment)の最新バージョンがインストールされる。
$ brew tap aspnet/k
$ brew install kvm
最新バージョンのランタイムやコマンド群は、ホームディレクトリの下の「.k」ディレクトリ以下にランタイムバージョンごとに格納される。KVMのインストール後には、「~/.bash_profile」ファイルなどに「source kvm.sh」という行を追記しておく(例:「echo source kvm.sh >> ~/.bash_profile」というコマンドを実行)。また、インストールに使用しているターミナルで「source kvm.sh」コマンドを実行することで、kvm.shファイルに記述されている設定が現在のシェル環境に読み込まれ、kvmやkpmなどのコマンドを実行できるようになる。
KVMのインストール後には「kvm upgrade」コマンドを実行する。kvmコマンドは、XREのバージョンを管理するためのコマンドだ。upgradeを指定して、このコマンドを実行すると、最新バージョンのランタイムがインストールされ、これがデフォルトのランタイムとなるように設定が行われる。
$ kvm upgrade
Determining latest version
Latest version is 1.0.0-beta3-11030
kre-mono.1.0.0-beta3-11030 already installed.
Adding /Users/user_name/.k/runtimes/kre-mono.1.0.0-beta3-11030/bin to process PATH
Updating alias 'default' to 'kre-mono.1.0.0-beta3-11030'
ASP.NET 5は着々と開発が進んでいるので、折を見て、最新バージョンのランタイムをインストールするようにしよう。
以上でOS XでASP.NET 5を実行するための準備は完了だ。次にUbuntuにXREを実行する手順を紹介する。OS Xへのインストールが終わったという方は、「サンプルコードを動かしてみる」へと進んでも構わない。
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