あなたの周りの環境を「思い通り」にするためには、「あっち(自分以外)」にある主導権を「こっち(自分)」に取り戻さなければなりません。
そのために便利なのは、主語を「私」に変えることです。
例えば、もし次のようなモヤモヤを抱えていたら……。
主語を私にしてみましょう。
このように「私」が主導権を握れば、自分の意思で思い通りにしやすくなります。
「いや、どんなに頑張っても、上司や同僚が変わってくれなかったんだから、しょうがないじゃないですか」。今まで、周りの環境をより良くしようと頑張ってきた人ほど、そう思うかもしれません。
それでもあえて言わせてもらえば、あなたが頑張った結果を話すときの主語が自分以外になっていたら、あなたは主導権を「何か」や「誰か」に渡しています。
今まで目を向けようとしなかった問題に向き合い、主導権を取り戻すのは勇気の要ることかもしれません。けれども、問題を「自分の課題」として受け入れたとき、問題は解決し始めるのです。
そして、自分の力で解決できたとき、または解決できなかったとしても、「あのとき、自分ができることは十分やった。やりきった」と思えたとき、その問題は大きな自信となって返ってきます。
問題を解決するプロセスの中で、新しい働く意味や価値を見いだしたり、ライフワークに出会ったりする人もいます。筆者は何人かのビジネスパーソンにインタビューした経験がありますが、現在活躍している人の多くが、問題を抱えていた当時のことを次のように語っています。
「あの問題があったおかげで、今があるんです」
そうです。あなたが今抱えているその問題は、あなたの仕事を楽しくするための「最高のギフト」なのです。あなたには、その問題を解決できる力があります。
もちろん、主導権を誰が握るかを決めるのは、あなたです。それでも、仕事を楽しんでいる多くの人は、自分で主導権を握っています。主語はいつも「私」です。
冒頭の話に戻りましょう。会社や上司、同僚に不平不満を抱いていた筆者は、その後コミュニケーションの勉強を始めました。
まずは、同僚の話を聞くことから始めました。すると少しずつですが、ストレスを抱えていた同僚がやる気を取り戻したり、前向きに働くようになったりと、職場の雰囲気が良くなってきました。そして何より、毎日不平不満を抱いていた筆者自身が、楽しく働いていることに気付いたのです。
この体験を通じて分かりました。「何かや誰かのせいにしていても何も変わらないけれど、小さなことでもいいから自分から変え始めれば、何かは変えられるんだな」と。
この体験は、今では大きな自信になっています。そして筆者は、新しいライフワークに出会えました。
大切なのは、「なるほどね」で終わらせないことです。静かな場所に行って、コーヒーでも飲みながら、紙とペンを取り出して考えてみてください。
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
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