100Gbps対応製品発表のメラノックス、「日本のデータセンターは遅れている」VXLANオフロードをサイバーエージェントが採用へ

メラノックステクノロジーズジャパンは2015年3月31日、日本国内で100Gbps対応アダプタおよびスイッチを発表。InfiniBandに加えてデータセンターイーサネットに注力するが、このためのカギの1つにVXLANオフロード機能がある。

» 2015年04月02日 09時00分 公開
[三木 泉@IT]

 メラノックステクノロジーズジャパンは2015年3月31日、日本国内で100Gbps InfiniBand対応アダプタおよびスイッチのサンプル出荷を開始したと発表した。これに合わせて来日し、同社の戦略を説明した米メラノックスの社長兼CEO、エヤル・ワルドマン(Eyal Waldman)氏は、「日本は遅れている」と話した。

米メラノックスの社長兼CEO、エヤル・ワルドマン氏

 メラノックスは、InfiniBandとイーサネット双方の接続を提供できるチップを事業の軸に据えている。今回発表したアダプタの「ConnectX-4」も、2ポートで4×EDR/FDR/QDR/ DDR/SDRに対応する一方、10/40/56/100Gbpsのイーサネット接続を提供可能。

 米メラノックスの売り上げの大部分はInfiniBand関連で占められており、イーサネット関連は約2割。だが、同社は高速性/低遅延、サーバーCPU/OSへの幅広い対応などを武器として、データセンターイーサネット市場への取り組みを強めており、イーサネットはInfiniBandよりも高い伸びを示しているという。

 ワルドマン氏が「日本は遅れている」というのは、データセンターにおけるイーサネット接続のスピードに関してだ。

 「米国では、40Gbpsイーサネット接続が10Gbpsイーサネット接続を大幅に超えている。2014年第4四半期にメラノックスが出荷したポート数でいえば、40Gbpsが26万ポート以上であるのに対し、10Gbpsは13万ポートだ。米国のWeb 2.0/クラウド関連企業は、40Gbpsに移行したといえる。これに対し、日本ではまだ1Gbps接続が主流だ。日本のクラウド企業は一足飛びに40Gbpsを採用して追い付くべきだ」(ワルドマン氏)

 メラノックステクノロジーズジャパンのジェネラルマネージャである津村英樹氏は、国内売上のほとんどをInfiniBandが占めているといい、Web 2.0/クラウドやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を主な対象とした、データセンターイーサネットソリューションの浸透を図りたいと話す。

 差別化ポイントの1つとして、VXLAN/NVGREのオフロード機能があるという。メラノックスジャパンは、その導入例として、サイバーエージェントを挙げている。

 サイバーエージェントは、クラウド技術としてOpenStackを採用しているが、現在構築を進めている次世代のOpenStack環境では、ネットワークを、これまでのVLANから、ミドクラのMidoNetを採用したネットワーク仮想化に移行しようとしている。

 だがVXLANによるカプセル化は、サーバーのCPUリソースを大きく消費する。同社の検証によると、現在のサーバーCPUでは、仮想マシン当たり2Gbps程度しか出ず、サーバーを10Gbpsイーサネット接続していても、この帯域幅をフル活用するには、5、6コアのCPUリソースが必要なことが分かったという。これでは仮想化の集約率も高められない。

カプセル化処理のオフロードは、メラノックスのネットワークアダプタの差別化ポイントの1つ

 そこでVXLANに関わるCPU処理を肩代わりできる、いわゆるVXLANオフロード機能に対応した複数のネットワークアダプタの検証を経て、メラノックスのConnectX-3を使うことにしたのだという。

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