インターネット上で公開され、誰もが無料で受講できる大学/研究機関/企業の講座のことをMOOC(Massive Open Online Course。大規模公開オンライン講座)と呼ぶ。もともとはアメリカで生まれたものであり、CourseraやedXなどのサイトが有名だ。
日本でも東京大学がCourseraとedXの両者に参加し、京都大学、大阪大学、東京工業大学がedXに参加している。ただし、これらのサイトで提供されている講座はほとんどが英語であり、日本人が利用するのはなかなか難しいものである(少なくとも筆者には)。
しかし、オンラインで講座を公開するという動きは日本にも広まり、JMOOCが2013年に設立された。2015年4月現在では、JMOOCが公認する配信プラットフォームとして以下の三つが存在している。
以下では、この中からgaccoについて簡単に紹介する。
gaccoはNTTドコモ社とNTTナレッジ・スクウェア社が共同で推進しているプロジェクトであり、そのサービスはNTTナレッジ・スクウェア社が提供している。
gaccoの特徴はいくつかある。
反転学習はgaccoに限らず、MOOCの大きな特徴の一つだ。通常の授業や講座は、教室で講師や先生の話を聞き、家に帰ってからは教科書/参考書/コンピューターなどを使用して一人で復習をしたり課題を解いたりする。反転学習では、教室ではなく家庭などで一人で講義を聞き、教室では講師や他の受講者と共同で何らかの課題に取り組む。通常の授業や講座とは逆の形態となるため反転学習と呼ぶ(とはいえ、反転学習がない講座もある)。
gaccoでは、講座は数週間かけて行われ、週ごとに動画が何本か公開される。動画を視聴し、他の受講者とディスカッションしたり、課題やレポートを提出したりといったことを毎週繰り返しながら講座は進んでいく。そして、最終的には講座ごとに定められた条件(テストの合計得点、レポートの評価など)をクリアすると終了証が発行される。
gaccoが提供する講座は、プログラミングとは直接関係ないものが多い。本稿執筆時点(2015年4月)では「物理法則プログラミング入門 ― オモシロイ動き、作ってみよう」くらいだ(これも2015年5月初頭には閉講する予定)。だが、メディアリテラシー、データサイエンスなど、プログラミングには直接関係なくとも、興味をそそられる、知っておいた方がよさそうなトピックを扱う講座もある。知識の間口を広げるためにも、gaccoなどのサイトを使ってみてはどうだろう。
なお、gaccoの講座は、開講期間が定められているので(レポートの提出期限などもある)、おもしろそうな講座を見逃すことがないように注意しよう。
gaccoなどが提供するMOOCには、レポートや課題、反転学習、他の受講者とのインタラクションなどの要素が含まれるため、受動的に動画を受け取るのではなく、積極的に学習行為に関わっていくことでより高い効果が得られると思われる。
大学をはじめとする研究機関の講座を視聴するためのツール/プラットフォームとしては、今紹介したgaccoのようなWebサイト以外の選択肢もある。それがiTunes Uだ。iTunes Uでは、iTunesとiOSデバイスで、世界各地の教育機関が提供する学習コンテンツを無料で視聴できる(大学に限らない)。
国内の大学としては、東京大学、京都大学、北海道大学、九州大学、早稲田大学、慶応大学、中央大学、明治大学などがコンテンツを提供している。gaccoなどと違って、反転学習や他の受講者とのディスカッションなど、能動的に学習を進めていく要素はないが、手軽に高度な教育機関の学習コンテンツを視聴できるのは便利だろう。
本稿では、プログラミングを学習できる動画学習サイトと、MOOCと呼ばれる大規模なオンライン講座を提供するサイトをいくつか紹介した。ゴールデンウィークも近づいてきたことだし、この春のお休みは少し時間を割いて、これらのサイトでスキルを磨いたり、知見を広めてみたりしてはいかがだろうか。
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