NTT Com、「Arcstar Universal One」SDN化のロードマップを説明オンデマンドの帯域変更も

NTTコミュニケーションズは2015年4月27日、同社の法人向け回線VPNサービス「Arcstar Universal One」で、今後のSDN展開に関するロードマップを明らかにした。4つの取り組みを柱に、同サービスはいわば「SDN as a Service」化していく。

» 2015年04月28日 13時32分 公開
[三木 泉@IT]

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2015年4月27日、同社の法人向け回線VPNサービス「Arcstar Universal One」で、今後のSDN展開に関するロードマップを明らかにした。4つのオプションを通じ、同サービスはいわば「SDN as a Service」(筆者の造語)化していく。

 このロードマップでは、クラウド接続サービスとオンデマンドでの帯域幅変更の、2つのオプションサービスを新規に提供。一方で、提供開始済みのNFVサービス「Arcstar Universal Oneアドバンストオプション」およびエンド・ツー・エンドVPNサービス「Arcstar Universal One Virtual」を拡充することになっている。

Arcstar Universal OneのSDN化は、4つの柱で進められる

 これらのサービス/機能は、全てArcstar Universal Oneの一部として提供される。従って顧客は、上記のサービス/機能を利用するために、都度契約や書面による注文を出す必要がない。全サービス/機能は、Arcstar Universal Oneのユーザーポータルで利用の開始/停止、設定変更が行えるようになる。また、NTT Comは、システムインテグレーターやユーザー組織が、これらのサービス/機能をアプリケーションから操作するためのAPIを、段階的に拡充していく。

サービス/機能の強化は、段階的に進められる

 NTT Comは、説明の中で、全てのサービス/機能が単一のSDNコントローラで制御されるかのような図を示したが、あくまでもこれは概念的なものであり、物理的には別の仕組み、別のコントローラで動いているという。上記サービスの直接的な相互連携については、顧客ニーズに応じて、今後検討していくと説明した。

Azure、AWSへの共用セキュア回線接続は8月に提供開始

 今回説明された新サービスは「クラウド接続オプション(仮称)」とオンデマンド帯域変更オプションの2種類。

 まず、クラウド接続オプションは、主要クラウドサービスへの専用線接続を提供するもの。これまで、ユーザー組織のArcstar Universal Oneによる閉域網と、NTT Com以外のクラウドサービスとの専用線接続は、都度契約により提供されてきた。今回の発表では新たに、あらかじめNTT Comが行う主要クラウドサービスとの、1本10Gbpsの専用線接続を、ユーザー組織がVPNで切り出して使えるサービスを提供する。ユーザー組織ごとに専用線接続を用意するのではなく、単一の専用線を複数のユーザー組織がVPNによる分離のうえで共用する仕組みのため、従来に比べて低料金になるはずだ。

クラウドへの共用セキュア接続は、AzureおよびAWSが当面の接続先となっている

 NTT Comは、クラウド接続オプションを、Microsoft AzureおよびAmazon Web Servicesについては2015年8月に提供開始する。当初はオフラインでの注文になるが、2015年度下期中には、サービスポータル上で注文や帯域の変更ができるようにするという。課金は一日単位となることは決まっているが、顧客が注文可能な最低/最高帯域などは決まっていない。グローバルな展開を考えているという。

 一方、オンデマンド帯域変更とは、文字通りユーザー組織がサービスポータル上で、契約帯域を変更できる機能。例えば、社内向けデータセンターとArcstar Universal Oneとの間の接続を、当初は100Mbpsなどにしておき、トラフィックが増えた場合には、ユーザー組織自身により、ポータル上で500Mbpsなどに増速する設定変更が行えるという。

ポータルで接続帯域をユーザー組織自身が変更可能

 オンデマンド帯域変更オプションは、「国内L3スタンダード型プレミアムプラン」「同ギャランティプラン」、およびイーサネット専用線サービスが対象となる。提供開始時期は、イーサネット専用線では2015年度上期、国内L3スタンダード型プランでは2015年10月を予定する。イーサネット専用線では、最高10Gbpsまでの増速ができるようにするという。

既存のSDN、NFV的なサービスも強化

 海外では2014年8月、日本国内では2015年2月に提供を開始した「Arcstar Universal Oneアドバンストオプション」は、WAN高速化、ファイアウォール(UTM)、IPsec VPN、SSL VPNといった機能を、NTT Comが顧客に対し、サービスとして提供するもの。「ユーザー組織は関連製品を資産として持たなくてよくなり、機器自体のメンテナンスや、機器の操作方法習得などのコストが掛からない、新しい技術への追従もしやすくなる」と同社はアピールしてきた。

アドバンストオプションでは、クラウド接続およびモバイル端末に対応する

 これまでWAN高速化機能は、顧客のセンター拠点と他の拠点との間の通信を対象としてきた。今回の発表では、2016年3月をめどに、顧客拠点とNTT Comクラウドとの間、およびモバイル端末とNTT Comクラウドとの間の通信についても、高速化機能を提供するという。

 一方、日本国内で提供中の「Arcstar Universal One Virtual」は、回線サービスから独立したソフトウェア的な仮想ネットワークサービス。複数の端末で、閉じたVPNグループを構成できる。各端末は、Arcstar Universal Oneの契約拠点にいる必要はない。インターネット、モバイルネットワーク経由で、クローズドグループに参加できる。この閉じたVPNグループは、Arcstar Universal Oneに乗り入れることも可能。

Arcstar Universal One Virtualでは海外展開が進む

 今回の発表では、2015年5月よりグローバル展開を開始するとした。これは、Arcstar Universal One Virtualの接続端末のための終端ポイントを、海外に展開していくということのようだ。

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