Windows 10 UWPで業務デスクトップアプリ開発はどう変わるのか?特集:UWPとは何か(1/3 ページ)

Windows 10で登場するUWPにより、業務アプリはどう変わるのか、そのメリットとデメリット、移行戦略などについて解説する。

» 2015年06月23日 05時00分 公開
[山本康彦BluewaterSoft/Microsoft MVP for Windows Platform Development]
特集:UWPとは何か
業務アプリInsider/Insider.NET

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連載目次

第8回 業開中心会議開催のお知らせ

 2015年7月4日に第8回 業開中心会議「Windows 10でデスクトップアプリはどう変わる」を開催します。本稿で取り上げているUWP(Universal Windows Platform)、既存アプリをUWP化するUWP Bridgesなどを取り上げ、Windows 10時代の業務アプリのあり方を検討します。


 一般ユーザー向けのWindows 10への無償アップグレードが7月29日から提供開始になると発表があった。企業向けのWindows 10 Enterpriseエディションはそれよりも遅れるが、恐らく年内には提供が始まるだろう。いよいよWindows 10時代の幕開けである。

 業務アプリの開発者としては、Windows 10での変化、特に新しく導入されるユニバーサルWindowsプラットフォーム(以降、UWP)によってデスクトップアプリ開発はどう変わるのかについて、興味があるだろう。本稿では、UWPのメリット/デメリットやUWP用のアプリ(以降、UWPアプリ)開発への移行戦略などについて考えてみたい*1

従来のデスクトップアプリとUWPアプリ 従来のデスクトップアプリとUWPアプリ
Windows 10のプレビュー版(ビルド10130)で2種類のアプリを表示しているところ。左は従来のデスクトップアプリ(WPF)で、右がUWPアプリである(マウスカーソルが2カ所に見えているのは、画像合成であるため)。
UWPアプリといっても、見た目は従来のデスクトップアプリとほとんど変わらない。現時点では(製品版では異なる可能性があるが)、UWPアプリにはウィンドウ左上のシステムメニューアイコンがなく(赤枠で囲った拡大部分に注目)、ウィンドウ右上の[×]ボタンのサイズが違っている程度の相違点だ。
なお、このUWPアプリのUIはXAMLで記述している。Visual Studioで自動生成したプロジェクトに追加したXAMLコードは、(文字列の内容とその色指定を除いて)左のWPFアプリと全く同じである。

*1 本稿では、UWPアプリの具体的な作成方法は扱わない。興味のある方は「特集:次期Visual Studioの全貌を探る:徹底予習! Windows 10のユニバーサルアプリ開発」をご覧いただきたい。


Windows 10で動くアプリ/動かないアプリ

 業務システムの全てのクライアントがWindows 10になったという将来の環境を想像してみよう。

 そこには、PCだけでなく、タブレットやスマートフォンも含まれているだろう。会議室にはSurface Hubがあり、ハードウエアの開発部門ではHoloLensを使っているかもしれない(次の画像)。そんな環境の中で、あなたはWindows 10 IoT Coreエディションを組み込んだデジタルサイネージ(電子看板)用のアプリを開発している可能性すらあるのだ。

Windows 10用の新しいデバイスの例
Windows 10用の新しいデバイスの例 Windows 10用の新しいデバイスの例
上:会議室でのSurface Hub。壁面に取り付けた大画面のSurface Hubには、会議資料などを表示するだけでなく、手書きによる書き込みもできる。また画面左上には、リモート参加者の映像も見える。この画像はSurface Hubのサイトより。
下:ハードウエア設計部門でのHoloLens。PCで設計作業をしている右端の人物がHoloLensを頭部に装着している。装着者には、画像左下の緑色のバイクの3Dモデルがホログラムのように見えている(他の人には見えていない)。この他に、ハードウエアのメンテナンス部門などで作業指示を表示するような利用方法も想定されている。この画像はHoloLensのサイトより。

 Windows 10には、さまざまなデバイス向けに複数のエディションがある。どのデバイスでどんなアプリが動くのかを、まず把握しておこう(次の表)。

デバイス PC/タブレット(大) スマートフォン/タブレット(小) 組み込み用ボードコンピューター Surface Hub HoloLens Xbox
エディション Windows 10 Home/Pro/Enterprise/Education Windows 10 Mobile/Mobile Enterprise Windows 10 IoT Core [Surface Hub用Windows 10] [HoloLens用Windows 10] [Xbox用Windows 10]
既存のデスクトップアプリ(Windowsフォーム/WPF) × × × × ×
Windows 8.x用のWindowsランタイムアプリ × × × × ×
Windows Phone 7.x/8.x用のアプリ × × × × ×
Windows 8.1/Windows Phone 8.1用のユニバーサルWindowsアプリ × × × ×
Windows 10用のUWPアプリ(デバイスを限定していないもの)
Project Centennial × × × × ×
Project Astoria × × × × ×
Windows 10のエディションによって動くアプリと動かないアプリがある
角かっこで囲ったWindows 10のエディション(Surface Hub用/HoloLens用/Xbox用)は未発表のため、製品版では異なる可能性がある。また、Windows 10 IoTには「Core」の他に未発表の「for mobile devices」(Windows 10 Mobileに相当)と「for industory devices」(PC版のWindows 10に相当)と呼ばれているエディションがあるが、それぞれ相当するコンシューマー向けエディションに準ずると考えられる。
Windows 10をプレインストールして出荷されるタブレットPCは、8インチ前後の画面サイズを境にして、それより小さいものにはWindows 10 Mobileが提供され、大きいものにはPC版のWindows 10が提供される。
「Project Centennial」と「Project Astoria」については、「特集:Build 2015:全ての開発者が押さえておくべきマイクロソフトの最新技術動向」をご参照いただきたい。

 上の表から分かるように、PCとタブレット(大)だけにアプリを開発するのであれば、従来のデスクトップアプリ(WindowsフォームやWPF)でも構わないのである(タブレット用にはタッチ対応が必要となる)。それ以上の複数のデバイスに対応したアプリを開発するとなったら、UWPアプリが必要になるのだ。

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