Windows 10で登場するUWPにより、業務アプリはどう変わるのか、そのメリットとデメリット、移行戦略などについて解説する。
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2015年7月4日に第8回 業開中心会議「Windows 10でデスクトップアプリはどう変わる」を開催します。本稿で取り上げているUWP(Universal Windows Platform)、既存アプリをUWP化するUWP Bridgesなどを取り上げ、Windows 10時代の業務アプリのあり方を検討します。
一般ユーザー向けのWindows 10への無償アップグレードが7月29日から提供開始になると発表があった。企業向けのWindows 10 Enterpriseエディションはそれよりも遅れるが、恐らく年内には提供が始まるだろう。いよいよWindows 10時代の幕開けである。
業務アプリの開発者としては、Windows 10での変化、特に新しく導入されるユニバーサルWindowsプラットフォーム(以降、UWP)によってデスクトップアプリ開発はどう変わるのかについて、興味があるだろう。本稿では、UWPのメリット/デメリットやUWP用のアプリ(以降、UWPアプリ)開発への移行戦略などについて考えてみたい*1。
*1 本稿では、UWPアプリの具体的な作成方法は扱わない。興味のある方は「特集:次期Visual Studioの全貌を探る:徹底予習! Windows 10のユニバーサルアプリ開発」をご覧いただきたい。
業務システムの全てのクライアントがWindows 10になったという将来の環境を想像してみよう。
そこには、PCだけでなく、タブレットやスマートフォンも含まれているだろう。会議室にはSurface Hubがあり、ハードウエアの開発部門ではHoloLensを使っているかもしれない(次の画像)。そんな環境の中で、あなたはWindows 10 IoT Coreエディションを組み込んだデジタルサイネージ(電子看板)用のアプリを開発している可能性すらあるのだ。
Windows 10には、さまざまなデバイス向けに複数のエディションがある。どのデバイスでどんなアプリが動くのかを、まず把握しておこう(次の表)。
デバイス | PC/タブレット(大) | スマートフォン/タブレット(小) | 組み込み用ボードコンピューター | Surface Hub | HoloLens | Xbox |
---|---|---|---|---|---|---|
エディション | Windows 10 Home/Pro/Enterprise/Education | Windows 10 Mobile/Mobile Enterprise | Windows 10 IoT Core | [Surface Hub用Windows 10] | [HoloLens用Windows 10] | [Xbox用Windows 10] |
既存のデスクトップアプリ(Windowsフォーム/WPF) | ○ | × | × | × | × | × |
Windows 8.x用のWindowsランタイムアプリ | ○ | × | × | × | × | × |
Windows Phone 7.x/8.x用のアプリ | × | ○ | × | × | × | × |
Windows 8.1/Windows Phone 8.1用のユニバーサルWindowsアプリ | ○ | ○ | × | × | × | × |
Windows 10用のUWPアプリ(デバイスを限定していないもの) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
Project Centennial | ○ | × | × | × | × | × |
Project Astoria | × | ○ | × | × | × | × |
上の表から分かるように、PCとタブレット(大)だけにアプリを開発するのであれば、従来のデスクトップアプリ(WindowsフォームやWPF)でも構わないのである(タブレット用にはタッチ対応が必要となる)。それ以上の複数のデバイスに対応したアプリを開発するとなったら、UWPアプリが必要になるのだ。
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