ノーチラス、さくらインターネット向けにSparkベースの原価計算システムを導入Hadoopの3倍以上の計算速度

ノーチラス・テクノロジーズは7月8日、さくらインターネット向けに、自社フレームワークで開発した原価計算システムを導入したと発表した。分散処理基盤にApache Sparkを採用することで、ほぼリアルタイムでの原価の把握を可能にしたという。

» 2015年07月09日 16時18分 公開
[@IT]

 ノーチラス・テクノロジーズ(以下、ノーチラス)は7月8日、さくらインターネット向けに、自社フレームワークで開発した原価計算システムを導入したと発表した。分散処理基盤にApache Spark(以下、Spark)を採用することで、従来型のRDBMSの約120倍、Apache Hadoop(以下、Hadoop)の3倍以上の速度で、きめ細かな原価計算を可能にしたという。

 これまでさくらインターネットでは、自社データセンターから取得した各サービスのサマリー情報を基に、ラック単位やサーバー単位でコストを一律案分する方法で、データセンター事業の原価計算を行ってきた。しかし、サービスの早期改善や新規開発のために、より詳細に原価計算を行うことを希望。ユーザーや物理サーバー単位での正確な原価の把握を目指して、ノーチラスとプロジェクトを発足させた。

 ノーチラスは、自社開発のオープンソース分散処理フレームワーク「Asakusa Framework」とSparkをベースに原価計算システムを構築し、さくらインターネットの石狩データセンターに導入した。このシステムでは、電力量やトラフィック量などの膨大なログデータと、ユーザーごとの会計データをひも付けることで、正確な原価算出を実現する。

 このような大量データの処理は、従来型のRDBMSでは20時間程度、Hadoopを使用しても1時間程度を要した。しかし今回のシステムでは、Sparkを実行基盤にすることで、約10分というほぼリアルタイムの計算を可能にしたという。Sparkは、近年特に注目されている分散処理基盤で、特定の処理においてはHadoopを超えるパフォーマンスを発揮するといわれている。

 今後、さくらインターネットでは、この原価計算システムを他のデータセンターに展開したり、蓄積したデータを予測やシミュレーションに活用したりすることを検討しているという。

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