先ほど作成した基本のガントチャートは、工数のカウントができません。そこで、Excelの「COUNTA」関数を使って、日別の工数を積算できるようにします。COUNTAは、指定した範囲に含まれるデータの合計を計算する関数です。
まず、タスクの入っているセルに何でもいいので、文字を入力します。本記事では見た目に分かりやすいように「■」という黒い四角の文字を使います(図7の【1】)。サンプルでは分かりやすいように文字を赤くしていますが、実際に作成する場合は背景と同じ色で構いません。
次に、日にちの一番下のセルに、文字の入ったセルをカウントする関数「COUNTA」を使った式を記述します。これで、一日ごとのプロジェクト全体のタスク数が計算できます。例えば、セル「F45」(図7の【2】)に「=COUNTA(F4:F:44)」と記入すると(図7の【3】)、入力した範囲内の「■」の総数が表示されます。
Excelの「スパークライン」機能を使って、先ほど作成した日ごとのタスク数をグラフ表示し、プロジェクトの負荷状況が一目で分かるようにします。
スパークラインとは、ワークシートのセル内でデータを視覚的に表現する小さな棒グラフです。図8の上にある紺色の縦棒グラフがスパークラインです(スパークラインはExcel 2010で登場した新機能のため、2007以前のバージョンではこの操作はできません)。
スパークラインの挿入は、下記の手順で行います(図9)。
この結果、図8のようにセルを結合した場所に、負荷状況を示すグラフが表示されます。
図10のグラフを見ると、7月16日前後のタスクが多過ぎることが分かります。先ほどダウンロードしたサンプルデータの「少しだけ高度なガントチャート_修正前」タブを見ると、7月15〜17日の工数合計が「4」となっています。
本プロジェクトの条件は、「メンバーは3人」「1人が1度に処理できるタスクは1つまで=4つのタスクを同時進行させられない」なので、工数合計がオーバーしている日のタスクを他の日に割り振って、負荷を分散させなければなりません。
全体のバランスを見ると、中項目「オニオンスープを作る」の日程を変更しても全体に支障が出ないことが分かりましたので、これらを6日分、後倒しします。
図11の黄色い囲みにある「AS30〜BU36」までのセルを選択し、それをドラッグして右にずらします。
そうすると、一日当たりの工数が3以下になります。
実際のプロジェクト運用では、工数の調整は複雑な要因に依存し、「あちらを立てればコチラが立たず」になりがちです。だからこそ、ガントチャートを作成する時点で、できるだけタスク同士がかぶらないように設計することが大切です。
次回は、Webサービスを使ってガントチャート作成し、他のメンバーと共有する方法を紹介します。
ブラビオ タナカタクヤ
国内10万社以上で利用されているプロジェクト管理インターネットサービス「ブラビオ・プロジェクト」を提供する「ブラビオ」のマーケターと開発者のコンビ。趣味は料理、ただし盛り付けに課題あり。
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