プロジェクト管理や生産管理などで工程管理に用いる表「ガントチャート(Gantt chart)」の作成を通じてプロジェクトマネジメントのABCを学ぶ本連載。第2回目のテーマは「タスクの洗い出し」と「クリティカルパス」「マイルストーン」などの用語解説です。
皆さんこんにちは、「ブラビオ」のタナカタクヤです。ガントチャートの作成を通じて「プロジェクトマネジメントとは何か」を学ぶ本連載、前回は「ガントチャートとは何か?」「なぜガントチャートが必要なのか」を説明しました。
今回は「イタリアンランチを提供する」というプロジェクトでガントチャートを作成するためのタスクを洗い出します。また、ガントチャートの用語を解説します。
まず、プロジェクト完遂に必要な「タスク」を洗い出します。
タスクは後から追加もできるので、まずは一番大きな枠から書き出していきます。「イタリアンランチプロジェクト」でしたら、「ピザを作る」「スープを作る」「サラダを作る」の3つです。仕事でガントチャートを作成する場合は、これらを「製品開発」や「プロモーション」「営業活動」などの用語に置き換えてください。
しかし、これではさすがにシンプル過ぎるのでもう少し細かくします。
「ピザを作る」を、「生地作り」「ソースを作る」「焼く」「仕上げ」の4つに細分化しました。
まだまだブレークダウンが足りないので、実際の作業に合わせてブレークダウンしていきます。
タスクの洗い出しは「アレもやらなきゃ。コレもやらなきゃ」と細かくなりがちですが、細か過ぎるとメンバーが困りますし、そもそもの目的である「一覧性」が確保できなくなります。
タスクの「粒度」を調整、共有するのは、コツのいる作業です。できる限り細かくしても悪くはないのですが、ガントチャートの目的は、仕事の指示書(マニュアル)とは異なります。
ガントチャートの目的は、「計画を見える化し、メンバー同士で共有する」ことです。
人や組織によってタスクの粒度は異なりますが、「共有する」ことを考えると、メンバー全員が理解できるような細かさの内容項目まででとどめるといいでしょう。「どんなものができるか何となくイメージできる」かつ「タスクが細か過ぎて見たくなくならない」ぐらいを目指してください。
ガントチャートを作る際に重要なのは、この「メンバーが全体像をイメージできる」という部分です。「ソースを作る」だけではイメージできませんが、「トマトを刻む」や「ニンニクを入れる」などの文言があると、材料や色などが分かります。
不安な方は取りあえず細かくタスクを洗い出して、その後「勇気を持って」細かい部分を削除するとよいでしょう。
ガントチャートの「タタキ」ができました。「ピザの生地作り」「ピザの盛り付け→焼き」「サイドメニュー(サラダとスープ)の作成」という3つの大きな流れが分かります。
最初に3つだったタスク数は、全体で32タスクになりました。開発などのプロジェクトでは、気を許すとあっという間に100タスクを超えてしまいます。一覧性との兼ね合いを見ながら、できるだけシンプルにしましょう。
タスクの洗い出しができたら、各タスクを実行するために必要な日程を割り振ります。
イタリアンランチプロジェクトのリソース条件は、「メンバーは3人、同時にできるタスクは3つまで」です。実際のプロジェクトでは、残業をしたり、一人で二人分の仕事をしたりすることは多いのですが、あくまでも例外処理にしたいところです。計画の段階では、リソース通りの計算で日程を割り振る方がよいでしょう。
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