ガントチャート(Gantt chart)とは、プロジェクト管理や生産管理などで工程管理に用いられる表のことです。本連載で、ガントチャート作成を通じてプロジェクトマネジメントのABCを学びましょう。
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皆さんはじめまして。タナカタクヤと申します。私たちはプロジェクト管理のインターネットサービスを提供している「ブラビオ」のマーケターと開発者のコンビです。
会社で行う仕事は、「チームワークが全て」といっても過言ではありません。チームが効率よく仕事を進めていくためには、定例会議を開き、プロセスを承認し、プロジェクトにまつわるさまざまなタスクを同調を取りながら進め、漏れなく効率よく進めていく必要があります。
管理の手法は「タスク管理」「スケジュール管理」「プロジェクト管理」「工程管理」などさまざまありますが、IT業界では「ガントチャート」というツールをよく使います。ガントチャートは棒グラフの一種で、このようなものです。
本連載「初めてのガントチャート」は、ガントチャートの作り方を通じてプロジェクトマネジメントの基礎を学ぶことを目的としたものです。全4回で、全てを読んで学習すると、最終的に下記のようなガントチャートを作れるようになります。初心者にも分かりやすく読めるようにまとめていきますので、何とぞよろしくお願いいたします。
ガントチャートとは、プロジェクト管理や生産管理などあらゆる管理工程に使う表です。「スケジュール表」「管理表」などと呼ぶ組織もあります。
「ガントチャートとは何か」を大ざっぱに言うと、何かの作業を進めていく「段取り」を項目別にまとめた表です。ガントチャートが優れている点は「全体の計画を見える化し、パッと見ただけでおおむね全体像をつかめる」ことだと私は思います。
ガントチャートは、Windowsのファイルエクスプローラーのような「ツリー構造」と「チャート(横棒)」で表します。左側のツリー構造部分には、「管理するタスク名」「完了日などの日付のデータ」「担当者」などの項目を列挙します。
右側のチャートには、開始日と完了(予定)日+αを表記します。横軸の単位は、「日」「週」「期」「年」など、プロジェクトの長さによってスケールを変えて表記します。
プラント開発などはプロジェクト終了までに数年かかることもありますので、単位は「週」となることが多いです。2〜3カ月のプロジェクトであれば、多くは「日」単位で表現されます。
プロジェクトなどを管理するときの工程管理に使われる「表」のこと。横棒グラフを使用し完了日などを管理する。
ガントチャートがどういうものか何となく分かりましたね。では、ガントチャートはなぜ必要なのでしょうか。それはプロジェクトを進める上で必要な情報を共有しやすいためです。
一つのケーススタディを提示します。
あなたは「料理の素人3人のチームで、イタリアンのランチを、ランチタイム内に提供する」というプロジェクトのマネジャーになりました
突っ込みどころ満載ですが、分かりやすさを追求するための工夫です。温かい目で見守ってください
さて、困りました。料理のマネジメントなんて初めてなのに、「やるべきこと」を列挙し、上司に「報・連・相」しながら、期日まで(時間内)に料理を出さなければならないのです。失敗は許されません。いったいどうすればよいのでしょうか?
まずプロジェクトには、3つの「決まっていること」があります。
「ランチを提供する」というプロジェクトでしたら、こうなります。
今回のプロジェクトで「決まっていること」が分かったら、それを遂行するために「プロジェクトをどう管理するか」を考える必要があります。
「ランチを提供する」というプロジェクトを管理するために必要なことを書き出してみましょう。
本来は他にもたくさんすることがありますが、今回はシンプルにしました。実際これだけでも初めての人には大変な作業です。
特に「やるべきタスクを洗い出す」は難しい作業です。細かくし過ぎると確認すべき表が縦に長くなりますし、逆に少な過ぎると「網羅性」を損い、見える化や管理において、不足が出る可能性があります。
この辺りのさじ加減はプロジェクトマネジメントの上達につれて分かってくるでしょうから、最初は「思いつく限り」細かい表を作る努力をするとよいでしょう。
「管理のために必要なこと」が分かったら、次にそれを関係者間で「どう共有するか」を考える必要があります。プロジェクト管理は「期日まで」に「確実に」プロジェクトを完了させるための管理手法ですから、「メンバー」「担当役員」「協力会社」など、各関係者に情報を「見える化」して「共有」することが必須だからです。
「ランチを提供する」プロジェクトのタスクを管理し、情報を共有するためには、どのような手段を使えばよいでしょうか。代表的な共有手段の長所や短所をまとめてみました。
それぞれの方法に長所と短所があります。例えば「あたまの中だけ」でしたら、共有性はありませんが、即時性にアドバンテージがあります。ホワイトボードは専用の機器を用意する必要はありませんが、物理的にその場所に行かないと確認できません。一般には「ホワイトボード」「Microsoft Excel」「専用ソフト」で管理している方が多いようです。
その中でも最もポピュラーなのが、Microsoft Excelでカレンダーやタスクリスト、ガントチャートなどを作成し、共有する方法です。これらの方法の長所や短所もまとめてみましょう。
(多少ヤラセ感もありますが)ガントチャートは、見える化の全ての項目が「◯」以上です。こうしてみると「プロジェクト管理=ガントチャート」と言われるくらい重宝される理由が納得いくのではないでしょうか。
ちなみに、最近の大学はガントチャートを使ったプロジェクト管理の授業などが増えており、若い人ほどガントチャートに親しんでいるようです。
プロジェクトの内容と期日をメンバーと情報を共有するため。情報共有には複数の手段があるが、「分かりやすさ」「確認のしやすさ」という点でガントチャートが優れているため。
次回は「ランチを提供する」プロジェクトの、タスクを洗い出すところから始めます。テンプレートもダウンロードできるようにしますので、ぜひご活用ください。
ブラビオ タナカタクヤ
国内10万社以上で利用されているプロジェクト管理インターネットサービス「ブラビオ・プロジェクト」を提供する「ブラビオ」のマーケターと開発者のコンビ。趣味は料理、ただし盛り付けに課題あり。
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