本連載では、ARを無料で制作できるライブラリVuforiaとUnityを使うことで、誰でも簡単にARのコンテンツを制作できる方法を紹介します。初回は、Vuforiaの概要とライセンス登録の仕方、Unityにセットアップする方法、簡単なARコンテンツの作り方について。
最近アプリなどでも普及し、身近でもよく見ることが多くなったAR(Augmented Reality:拡張現実)。今まではARを見て「面白い!」と思っても、最新技術のように感じ、自分で作ってみたいARのアイデアがあっても「実際に形にすることは難しい」と考えている方が多かったかもしれません。しかし、Unity+Vuforiaはそんな現状を変えてくれると思います。
また多彩なVuforiaのサンプルを見ると、「ARってこんなこともできるかもしれない」とアイデアが浮かぶかもしれません。そして、そのアイデアもどんどん簡単に形にしていけます。そのようにして、ARの可能性を皆さんも広げていける、そんな環境を提供してくれます。
本連載では、そんなARを無料で制作できるライブラリ「Vuforia」と、最近プロトタイピングの現場ではよく使われることが多くなってきた「Unity」を使うことで、誰でも簡単にARのコンテンツを制作できる方法を紹介します。
今回は、UnityとVuforiaの概要を紹介し、UnityとVuforiaを使ってARとして基本的な「マーカーを起点として、オブジェクトをマーカーの上に出す」ところまで進めていきたいと思います。
なおUnityについては、あらかじめインストールして、ある程度使ったことがあることを前提に説明していきます。まだUnityを使ったことがない方は、下記記事を参照してください。
Unityは近年スマートフォンゲームの業界などでよく使われることが多くなってきた3Dゲームエンジンですが、3Dビジュアルベースの開発環境であり、アセットも豊富なので、手軽に早く開発を行えることから、ゲームやアプリなどのプロトタイピングでも効果を発揮します。
筆者の場合は、広告代理店系列の制作会社としてクライアントのブランド価値を伝えるコンテンツアプリを制作することが多いのですが、3DもしくはARは新鮮で身近なユーザー体験を届けることができるため、企業ブランドの認知を深める手法として使えます。
また、クライアントの担当者の「やりたいこと」に対し、Unityならすぐに動くデモをプロトタイピングし、クライアントの方にイメージを直感的に伝えることができるため、Unityでのプロトタイピングはとても重宝しています。
VuforiaとはQualcommが提供するAR制作用のライブラリです。認識精度が高いことでも知られ、平面のマーカーだけではなく、立体のマーカー認識、クラウドでの認識、カメラからマーカーが離れた際の追従認識など、さまざまな形でARの機能を簡単に実装できます。
Unityで使えるARのライブラリはいくつかあります。例えば「AR Toolkit」「metaio」などがよく知られているでしょう。その中でもVuforiaが特徴的なのは「簡単に使える」点と「ARの幅にとらわれないサンプルが多い」点です。
後述しますが、Vuforiaは「開発者登録」→「ライセンスキー、マーカーの登録」→「プラグインのダウンロード」の流れで、その他には登録などはありません。そのため、すぐにARを開発できる環境を整えることができます。その点はUnityとも似ていて、誰でもすぐにプロトタイプレベルのものを作ることができます。
Vuforiaは従来の「マーカーの上に何か現れる」だけではない、さまざまな形のARをサンプルとして試してみるとともに、それらのサンプルをいじりつつ、自分の好きなARを作ることができます。
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