ITの技術者を指す職種として「SE」という言葉があります。漫画家の門尾勇治さんは、SEと聞いて、「何や? スペシャルエディションて?」と思ったとのことです。このように、SEという職種を知らない人もたくさんいます。
SE(System Engineer)を直訳すると「システム(System)」に携わる「技術者(Engineer)」という意味です。ですから、ITに携わる技術者は全員SEのようにも思えます。しかし一般的には、アプリケーションを中心としたシステム開発に携わる技術者をSEと呼びます。
システム開発をする仕事では、SEとは別に「プログラマー」という職種もあります。システム開発をする業務の中で、上流工程(要件定義や設計業務)を担当する人がSEで、下流工程(コーディングやテスト)を担当する人はプログラマーと言われます。両者を明確に分ける場合もありますが、最近ではその垣根が少し曖昧になってきています。
ここでは、ベンダー企業とユーザー企業について紹介します。
ベンダー(vender)企業とは、ソフトウエア開発会社やSIer(System Integrator)と呼ばれるシステム構築を専門とする会社など、システムを販売する(vend)企業です。一方のユーザー(user)企業は、銀行や大学や官公庁など、販売されたシステムを使用する(use)ごく普通の企業です。
ユーザー企業にも情報システム部門があり、ここでもSEが働いています。ITに携わるという観点ではどちらも同じですが、業務内容やその役割は違います。ベンダー企業のSEの仕事の軸は、システムを作って提供することです。一方のユーザー企業のSEの場合は、どういうシステムが必要か考えることや、システムの日々の運用が仕事の軸になります。
両者の決定的な違いは、お金を「払う側」なのか「もらう側」なのかという点です。お店の店員と客の関係を思い出してください。客はわがままを言うこともあります。一方の店員は、お金をもらう(=頂く)側ということで、常に頭を下げて丁寧な対応をする必要があります。
ベンダー企業のSEも同じです。お客さまには頭が上がらず、ときに泣きたくなるほどつらいこともあるのです。ベンダー企業に勤める技術者同士で飲むと、「ユーザー企業のSEは、いいなあ」というボヤキがよく聞かれます。
でも、ユーザー企業のSEも、実際にシステムを使う利用者や上司がお客さまみたいなものなので、一概に楽な仕事とは言えません。誤解がないようにお願いします(とはいえ、私も「ユーザー企業は楽そうだ」という偏見を持っている一人です)。それと、ユーザー企業の情報システム部門に就職するという道は、それほど広いものではありません。
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