米Amazon Web Services(AWS)は2015年10月8日(米国時間)、同社の年次イベント「AWS re:Invent 2015」で、CTOのワーナー・ヴォーゲルズ(Werner Vogels)氏が基調講演を行い、仮想インスタンス、コンテナ―、AWS Lambda、IoTなどに関し、多数の発表を行った。
米Amazon Web Services(AWS)は2015年10月8日(米国時間)、同社の年次イベント「AWS re:Invent 2015」で、CTOのワーナー・ヴォーゲルズ(Werner Vogels)氏が基調講演を行い、仮想インスタンス、コンテナ―、AWS Lambda、IoTなどに関し、多数の発表を行った。
AWSでは、現在仮想インスタンスの最大メモリ搭載量は255GBだが、2016年前半に登場するX1インスタンスは2TBのメモリを備える。この仮想インスタンスは、最大4つのIntel Xeon E7プロセッサー構成が可能。SAP HANAやSPARKなどに適している。
一方、2015年中に提供開始のT2.nanoは、512MB、1仮想CPUという最小構成の仮想インスタンス。軽量なWebサーバーなどの用途を想定している。
AWS IoTは、IoTデバイスを安全に接続し、デバイスからの情報をAWS上のアプリケーションあるいは他のデバイスに渡す役割を果たすプラットフォーム。IoTデバイス向けにはC、JavaScript、Arduino Yúnで「AWS IoT Device SDK」が用意され、MQTTSあるいはHTTPSにより、AWS上で動作する「Device Gateway」というサービスに接続する。Device GatewayではルールをSQLライクに記述でき、これに基づいてデータの集計やフィルターを行った後、AWS上の各種サービスあるいは他のIoTデバイスにこれをルーティングできる。Lambda関数を呼び出すこともできる。
デバイスはX.509認証を受けて接続する。また、IAMロールを割り当てることで、デバイスごとに利用できるサービスをきめ細かく制御できる。
IoTでは、多数のデバイスが全て常時接続されているとは限らない。こうした状況に対応するため、AWS IoTにはThing Shadowという機能がある。これはIoTデバイスがオフラインの状態になったとしても、AWS側でこのIoTデバイスのステートを保持し、サービス側はあたかもデバイスが生きているかのように扱えばいいというもの。再接続された時点で、未送信のデータがデバイスに送られる。
AWS IoTは当初から東京リージョンでも提供される。課金はメッセージの回数に基づいており、東京は100万メッセージ当たり8ドル(他のリージョンは5ドル)。
AWS Lambdaでは、Python対応、関数連続動作時間の延長、Amazon VPCサポート、関数のバージョン管理、関数のスケジューリング機能が発表された。
Lambda関数はNode.jsおよびJavaに加え、Pythonで書けるようになった。また、Lambda関数はこれまで、最大で60秒間しか動作できなかったが、5分間動かし続けることができるようになった。これでETLのような処理がやりやすくなったという。
Amazon VPCサポートでは、Lambda関数から、セキュリティを確保したまま、VPC内のリソースにアクセスできるようになった。セキュリティへの懸念からLambda関数の利用をためらっていたユーザーにメリットがある。
さらにLambda関数ではバージョン管理およびエイリアス(別名)をサポートし、スケジュールを設定して定期的に動かせるようになった。
コンテナー管理サービスのAmazon ECSでは、コンテナ―レジストリとCLIが発表された。Amazon ECSのスケジューラーでは、複数アベイラビリティゾーン(AZ)への対応が強化された。
今年中に提供開始の「Amazon EC2 Registry」は、Docker Registryなどの代わりに使えるコンテナ―レジストリ。可用性が高く、拡張性があり、AWS Identity and Access Management (IAM)との統合により、細かな認証と権限管理ができる。
また、CLIとして、「ECS Command Line Interface(ECS CLI)」が提供開始された。ECS CLIから、複数のコンテナ―を1つにまとめて展開できるDocker Composeを使うことができる。
さらに、ECSのスケジューラーは、複数のAZにまたがってコンテナ―の動きを制御できるようになった。これは仮想インスタンスの複数AZ配置と同様な構成を、コンテナ―で実現するもの。Elastic Load Balancingと連携し、アプリケーションを別AZにフェイルオーバーできる。
10月9日にベータ提供が開始されたAWS Mobile Hubはモバイルアプリケーションの構築プロセスを抽象化するサービス。コンソールから、ユーザー認証、データ保存、バックエンドロジック、プッシュ通知、分析といった機能を指定することで、それぞれを実装できる。例えばプッシュ通知はAmazon SNSを直接設定するのではなく、コンソールでやりたいことを指定していけばいい。ウィザード形式で、モバイルアプリ構築の流れを高速化できる。
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