短時間のノード障害に耐える仮想マシン――フェイルオーバークラスターの新機能(その1)vNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目(30)(2/3 ページ)

» 2015年10月15日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

これからは、短時間の通信障害 → 4分以内なら許容

 Windows Server 2016 TP3のHyper-Vホストクラスターでは、次のような短時間の通信障害を一定時間許容し、クラスターから孤立したノードで仮想マシンの実行を継続します。

  • ノードの完全な切断(ノードはクラスターの全て他のノードと通信不可)
  • ノードのCluster Serviceのクラッシュ(ノードのダウン)
  • ノードの部分的な切断(ノードはクラスターの別のノードの一部と通信可能)

 例として、iSCSI接続の「クラスター共有ボリューム(Cluster Shared Volume:CSV)」に仮想マシンを配置する2ノードのHyper-Vホストクラスター環境で、ノード間の通信をWindowsファイアウォールを利用して遮断することで、仮想マシンを実行しているノードを孤立させてみました。

 仮想マシンを実行するノードは、アクティブなノードの「フェイルオーバークラスターマネージャー」から見ると「Isolated(分離)」という状態、仮想マシンは「Unmonitored(監視されていない)」という状態です(画面2)。

画面2 画面2 Windowsファイアウォールを利用して、ノード間の通信を意図的に切断したところ。孤立したノードは「Isolated」、仮想マシンは「Unmonitored」状態に

 意図的に孤立させたノードの「フェイルオーバークラスターマネージャー」を見ると、クラスターは全てのノードがダウンした状態になっています。しかし、「Hyper-Vマネージャー」で仮想マシンの状態を見ると、仮想マシンは同じノードで稼働中のままでした(画面3)。

画面3 画面3 孤立したノードでは、クラスターはダウンした状態になるが、仮想マシンは実行中のまま

 Windowsファイアウォールの規則を無効化してノード間の通信を復旧させると、孤立しているノードがクラスターに復帰し、仮想マシンは「Unmonitored(監視されていない)」から「Running(実行中)」の状態に戻りました。この間、仮想マシンのゲストOSが停止することはありません。ノードの孤立状態が4分以内であれば、このように仮想マシンのフェイルオーバーは発生することなく、クラスターは正常な状態に戻ります(画面4)。

画面4 画面4 孤立状態が4分以内に解消すれば、仮想マシンのフェイルオーバーなしでクラスターは正常な状態に戻る

ストレージアクセスの一時的な断絶は、仮想マシンの一時停止で切り抜ける

 続いて、ノードの全てのネットワーク接続を物理的に切断してみました。全てのネットワークが切断されるため、仮想マシンが配置されているiSCSI接続のクラスター共有ボリューム(CSV)へのアクセスも不能になります。

 この場合、仮想マシンの実行を継続することはできませんが、仮想マシンは「Paused-Critical(一時停止−重大)」の状態でフリーズします(画面5)。そして、4分以内にネットワーク接続が復旧すれば、仮想マシンは一時停止の状態から再開され、「Running(実行中)」の状態に戻ります。

画面5 画面5 クラスターの共有ボリューム(CSV)へのアクセスが断絶した場合は、「Paused-Critical(一時停止−重大)」の状態になり、ストレージの復旧を待つ

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