近年、話題に上ることが増えたIBM「Watson」。その機能の進化は四半期で約1年に相当する勢いで「ドッグイヤー」ならぬ「ワトソンイヤー」とも呼ばれています。多様な分野への適用が急速に進んでいますが、実はBluemixでその機能に触れることができるのです。
IBMの人工知能技術を用いた質問応答/意思決定支援システム「Watson」がその名をとどろかせたのは2011年2月、米国のクイズ番組「Jeopardy!」で勝利を収めたことでした。2015年は三井住友銀行がコールセンター業務で活用すると発表し、「ワトソン君が銀行に内定」と話題になりました。他にも東大医科研がWatsonを活用したがん研究を開始するなど、医療分野での活躍も期待されています。
Watsonは多様な分野への適用が急速に進んでいるので、その特徴を表現するのが難しい存在でもあります。ただポイントを二つに絞るなら、大量データ分析と自然言語処理が得意であるということでしょうか。
Watsonは人間では絶対に処理できない大量データから独自のモデル化を行うことで、答えを導き出しているようです。大量のデータ分析から何かを認識するということで「コグニティブ(認知型)コンピューティング」と呼ばれています。例えば、遺伝情報を解明するゲノム解析で活躍できそうですね。また自然言語にも強いので、人間とのコミュニケーションで強みを発揮できそうです。
おそらく人間とは違うアプローチで認識をしているものの、突き詰めていくと人間が行う認識の仕組みや人知の深層に迫れるような気もします。
2015年9月2日に開催された開発者向けカンファレンス「SoftLayer×Bluemix Community Summit 2015」では、IBMのPaaS(Platform as a Service)である「IBM Bluemix」でWatsonの機能を使う方法を解説するセッションもありました。そのうちの一つがTIS戦略技術センターの油谷実紀氏による「BluemixでWatsonをつかいたおせ!」でした。
油谷氏はWatsonについて、(私見と断りつつ)「IBMがコグニティブコンピューティングソリューションとして提供するサービスやプロダクトのブランド名で、特に自然言語処理と機械学習に強い」と特徴を説明していました。確かに、Watsonはさまざまな技術や機能の総称なので「ブランド」という捉え方は分かりやすいと思いました。
Watsonは気軽に扱えないイメージがありますが、実はその機能にWebサービスのパーツとして触れることができます。しかもBluemixから使えてしまうのです。
実際に2015年のBluemix開発コンテスト「IBM Bluemix Challenge 2015」ではWatsonの機能を用いた作品がいくつか受賞しています。中には「Watsonの画像認識を使ったツッコミアプリ」というユーモアのある作品もありました。すでにWatsonを構成する機能は使用可能な状態です。
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