見聞きしない日はないほど流行している「IoT」。でも、どうやったら使えるのか? 本連載では読者諸氏が慣れ親しんだWindowsのIoT版を使って、IoTを実践してみる。まずは概要とインストールから始めよう。
最近、と言ってももう何年も前からだが「IoT(Internet of Things、モノのインターネット)」がはやっている。その定義はいろいろあるが、PCやIT機器だけでなく、さまざまな「モノ」をインターネット経由で接続し、活用する技術の総称である。
Windowsの世界でもIoT向けにWindows 10 IoT Coreという新しいOSがリリースされている。これはデスクトップ版のWindows 10とは何が違うのか、何ができるのか、どのように使うものなのか、気になるところだ。本連載では実機にWindows 10 IoT Coreをインストールして実際に使ってみることで、そういったところを探って明らかにしたい。
第1回となる今回は、Windows 10 IoT Coreの概要とそのインストールについて解説する。
「Windows 10 IoT Core」とは、IoT用途に向けて開発された、主に組み込み用途で使われる小型ボードコンピューター向けのOSだ。Core以外にも、モバイルデバイス向けの「Windows 10 IoT for Mobile Devices」、より高機能な「Windows 10 IoT for Industry Devices」もラインアップされている。
Windows 10という名前が付いてはいるものの、その機能や使い方はデスクトップやモバイルデバイス向けのWindows 10とは大きく異なる。簡単に言うと、ユニバーサルWindowsアプリ(UWP)の実行に特化した(主に)組み込みコンピューター向けのOSだ。デスクトップアプリケーションは動作しないし、デスクトップ画面やシェルのようなインターフェースもない。
「Raspberry Pi」に代表される小型ボードコンピューターは機能も性能も限られているため、従来は独自のOSやLinuxのような「軽い」OSが利用されていた。Windows 10 IoT Coreはそのような分野もカバーするために機能が限定されている。ただし、限定されているとは言っても、8bitや16bitのCPUでは動作しないし、メモリも1Gbytes程度はないと利用できない。そのため、現在のところは「Raspberry Pi 2」「MinnowBoard Max」「DragonBoard410c」の3種類のボードでしか利用できない。
本連載では一番入手性が高いRaspberry Pi 2を利用する。
「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」は、イギリスのRaspberry Pi Foundation(ラズベリー財団)が開発した、教育用途向けの小型ボードコンピューターである。日本では「ラズパイ」という略称でよく呼ばれている。Raspberry Piにはハードウェアのバージョンや構成などが異なるいくつかのバリエーションがある。そのうち、現在Windows 10 IoTを利用できるのは「Raspberry Pi 2 Model B」(以下Raspberry Pi 2 B)だけだ。このボードは、実売価格5千〜6千円程度で、主に通販サイトや電子部品店などで入手できる。
Raspberry Pi 2 Bの主なハードウェアの仕様を次に示しておく。
項目 | 内容 |
---|---|
モデル名 | Raspberry Pi 2 Model B |
Raspberry世代 | 第2世代 |
SoC | Broadcom BCM2836 |
ARMコア | ARM Cortex-A7、4コア、900MHz |
メモリ | 1Gbytes |
ストレージ | microSDカード |
電源 | Micro USB経由で給電。使用する部品にもよるが、5Vで1A以上の電源アダプタが必要 |
GPIO拡張コネクタ | 40pin |
USBコネクタ | USB 2.0×4ポート |
SDカードコネクタ | microSDカード |
ネットワークコネクタ | 10/100Mbps×1ポート |
Raspberry Pi 2 Model Bの主なハードウェア仕様 |
CPUはIntel系のx86/x64アーキテクチャのCPUではなく、32bitのARM Cortex-A7アーキテクチャのCPUである。そのため、x86/x64系のバイナリはそのまま動作せず、ARM向けに新たにアプリケーションを用意する必要がある。
それではさっそくRaspberry Pi 2にWindows 10 IoT Coreをインストールしてみよう。今回はRaspberry Pi 2にWindows 10 IoT Coreをインストールして、動作を確認するところまでを行ってみる。このために必要なシステムや部品などは以下の通りである。
次回以降ではさまざまなパーツやセンサー、部品などを接続する予定だが、Windows 10 IoT Coreをインストールして動作確認するだけなら、これだけあればよい。
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