米IBMが2015年の「グローバル経営層スタディ」を発表。それによると、Uberのようなベンチャーの登場による業界再編を懸念し、より現場近くでアジリティの高い組織作りを模索する声が半数近くに上ったという。
米IBMは2015年11月4日、最新の「グローバル経営層スタディ」(The Global C-suite Study)を発表した。この調査はIBMが毎年実施しているもので、世界中の70カ国以上、21業界にわたる5200人以上の公的機関や民間企業の経営者を対象に、ITや経営課題などを問うもの(関連記事)。
今回の調査では、「経営者は“ウーバライゼーション(Uberization)”に強い関心を持っていることが分かった」としている。ウーバライゼーションは「ウーバー症候群」とも呼ばれる。Uberの登場によりタクシー配車業界が大きく変わったように、ビジネスモデルがまったく異なるデジタル企業の参入によって既存の業界が変わることを指す。
IBMの発表によると、調査対象の経営者のうち、66%は「業界の統合・融合」というトレンドが、今後3〜5年で自社に大きな影響を与えると考えている。また、他業界から新たな競合が参入してくることを危惧している経営者は、2013年の調査では全体の43%だったのに対して、今回の調査では54%に増加した。
この結果からIBMでは、多くの企業が「既存のインフラにとらわれず、全く異なるビジネスモデルを駆使し、より小規模で、より機敏に動く新規参入者からの脅威にさらされている」と指摘している。
また、回答者の過半数がクラウドやモバイル、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)がビジネスに最も革命をもたらす技術だと考えており、次いで37%の回答者が機械学習などを利用した情報処理であるコグニティブコンピューティングがビジネスに最も革命をもたらす技術だと考えていることも明らかになった。
セキュリティは、2年前の同調査では重要性が低かったのに対して、今回は回答者の68%が「企業が抱える最も重要なリスクである」と考えていた。
この他、多くの経営者は将来を予測することは難しいと考えているにもかかわらず、「新たな動向や技術を特定し調査するために、顧客からのフィードバックを活用していない」という回答者が半数に上ったとも指摘している。一方で、経営者の66%は個々の顧客へのアプローチの強化を期待し、これは2013年と比べて22%増加した。また、経営者の81%はデジタル技術を活用して顧客との接点を強化しようと考えており、これは同19%増加したという。
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