誰でも気軽にデータと戯れられるBIを目指した「Vizable」とは何かアナリティクス トレンド ピックアップ(1/3 ページ)

米Tableau Softwareは2015年10月20日(米国時間)、無償のiPadアプリ「Vizable」を発表しました。誰でもデータから知見を得られることを目指した、これまでにないタイプのBIツールです。このアプリの概要を、非IT部門の方にも分かるように紹介します。

» 2015年11月10日 05時00分 公開
[三木 泉@IT]

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2014年のTableau Conferenceで発表されたProject Elastic(現Vizable)。画像クリックで該当記事にリンク

 米Tableau Softwareは、2015年10月19〜23日(現地時間)に年次カンファレンス「Tableau Conference 2015」を開催しました。このカンファレンスにおける発表の目玉となったのは、「Vizable」というiOSアプリです。同社は2014年のTableau Conferenceで、こうしたツールを開発中であることを明らかにしていました。当時は「Project Elastic」と呼んでいましたが、これが製品化されたのがVizableです。

 Vizableは、2015年10月20日の発表と同時に「iTunes Store」で無償提供を開始しました。対応するスマートデバイスは「iOS 8.0」以降の「iPad」。処理性能の観点から、新しいハードウエアが望ましいといいます。対象となるデータはCSVおよびExcelファイルのみ。同社の主力製品である「Tableau Desktop」や「Tableau Server」とは現在のところ関係のないツールです。

 「Vizable」というソフトウエア名は、「viz」(Tableauでは、データを視覚化したものを「visualization」の略で「viz」と呼ぶ)と「-able」(「しやすい」「すぐできる」)からきているものと思われます。操作を覚えることなく、どんな人であってもスプレッドシートのデータを「目で見て」「触り」「理解する」ことができるツールだといいます。Tableauの企業としてのスローガンは「人々がデータを目で見て、理解することを助ける」ですが、これに「触る」という言葉が加わっていることが端的に示すように、「誰もがデータを触れる」ということに、このツールのポイントがあります。

 Vizableは、Tableau Desktopとどのような関係にあるのでしょうか。

 Tableau Desktopは「セルフサービスBI」と表現されるツールの分野における主要製品です。直観的な操作が特徴ではありますが、使いこなすにはそれなりのスキルの習得が必要です。また、製品のライセンス価格が安いとはいえず、企業が全社員分を購入することは考えにくい製品です。結局のところ、企業のさまざまな部署で、データ分析を自らの業務の中心、あるいは業務のベースとするようなユーザー(例えばデジタルマーケティング担当者)が、積極的にこのツールの操作スキルを取得して「使いこなす」製品だといえます。

 Vizableは、Tableau Desktopでは対象とすることのできない人たちに向けたツールです。日常的にデータを「分析」するつもりはない、データから知見を得るために、何らかのツールの使い方を学ぶ意思も時間もない。そういう人たちに、データを触って、面白いことが見つかるのか見つからないのかを試してもらうというのが、このツールの目的だと考えられます。だから無料であり、PC版はなくタブレット専用になっています。そして、タブレットのタッチ操作でデータ探索の一連のプロセスが完結できるように工夫されています。この製品の開発を指揮した米Tableau バイスプレジデント(モバイル&戦略的成長担当)のデイブ・ストーリー(Dave Story)氏は「面白く、使って楽しい」ツールを目指したと説明しています。

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