ヴイエムウェアのコンテナインフラ技術を、NTT Comが採用に向け検討と発表vSphere Integrated ContainersとPhoton Platform

NTTコミュニケーションズとヴイエムウェアは2015年11月9日、ヴイエムウェアが開発中のコンテナインフラ技術「VMware vSphere Integrated Containers」および「VMware Photon Platform」について、NTT Comがその採用の検討を進めると共同で発表した。NTT Comでは、一般企業向けのコンテナ環境は、セキュリティと性能に関するニーズに応える必要があるとしている。

» 2015年11月10日 07時11分 公開
[三木 泉@IT]

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とヴイエムウェアは2015年11月9日、共同で記者会見を開き、NTT Comがヴイエムウェアの「クラウドネイティブプラットフォーム」採用に向けて検討していくことを発表した。

 ここでNTT Comとヴイエムウェアが「クラウドネイティブプラットフォーム」と呼んでいるのは、ヴイエムウェアが2015年夏にVMworld 2015で発表した「VMware vSphere Integrated Containers」および「VMware Photon Platform」。この2製品は現在ベータテスト中で、2016年中に一般提供開始の予定。

 2製品の概要については、「米ヴイエムウェアが2つのコンテナインフラを発表、Photon Platformは、『開発者のための新たなvSphere』?」という記事で紹介している。一言でいえば、どちらもVMware vSphereの技術をベースに、コンテナ用に最適化されたインフラを提供する製品だ。同社の提供する超軽量Linux OS、「Photon OS」を用いて「一仮想マシン、一コンテナ」の環境を自動的に作ることができ、コンテナアプリケーションのセキュリティ向上や、CPU/メモリ利用の分離による性能の安定化が図れる。Photon Platformは「コンテナ利用に特化した、スケールする軽量vSphere」といった趣きの製品だ。

NTT Comの田中氏(左)と、米ヴイエムウェアのローマイヤー氏(右)

 なお、2製品の最終的な提供形態を、今回改めて米ヴイエムウェアのクラウドプラットフォーム事業部門プロダクトマネジメント&マーケティング担当バイスプレジデント、マーク・ローマイヤー(Mark Lohmeyer)氏に確認した。vSphere Integrated ContainersはvSphereの機能の一つとして、いずれかのエディションに組み込まれることになる。Photon Platformは、vCenterの軽量版に当たるPhoton Controller(オープンソース化されている)、ESXiの軽量版に当たるハイパーバイザ、Photon OS、その他独自ソフトウエアで構成された新製品として、ライセンスおよびサポートのサブスクリプションが提供される予定。

 今回の発表では、NTT Comは同社が2015年12月に新世代のサービスを発表予定のクラウドサービス、「Enterprise Cloud」での新しい製品・サービス化を検討する。ヴイエムウェアはNTT Comに、2製品のテクノロジープレビュー版を提供するとともに、技術支援を行う。

12月に発表予定のEnterprise Cloud 2.0では、SDNによって多様なクラウドサービスをまとめ上げて提供することが基本

 2製品とも現時点では開発中なので当然といえば当然だが、NTT Comはこの発表で何らかのコミットをしたわけではない。同社取締役の田中基夫氏にニュアンスを確認したところ、「ヴイエムウェアはこうした製品を出していくという姿勢と決意を示している段階。我々もこれに取り組んでいくという決意を示した。本当にサービスになるかどうか、顧客に喜んでもらえるものになるかは、これから検証していく。だが、一般論としては我々も、クラウドネイティブな世界を、どんな形であれ取り込まないと生き残っていくことができない。そのための有力な候補の一つとして考えている」と同氏は答えた。

 NTT Comは、ホステッドプライベートクラウドサービス「Enteprise Cloud」を展開する一方で、パブリッククラウドサービス「Cloudn」を提供している。同社のクラウドサービスの多くはvSphereを基盤としているが、パブリッククラウドサービスの一部ではOpenStackも使っている。同社はこれらを再構成した次期クラウドサービスを、2015年12月に発表の予定だ。

 この次期クラウドサービスにおいて、コンテナ環境をOpenStack、vSphere、ベアメタルのどのプラットフォームで動かすか、複数のプラットフォームで動かそうとしているのかについても、田中氏は明言を避けている。一方で同氏は、一般企業における、コンテナベースのクラウドネイティブ・アプリケーションへの取り組みを支援するには、セキュリティや信頼性のニーズに応えることが重要とも述べている。

 なお、この発表の場で講演したIDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの松本聡氏は、System of Engagementに加え、System of Recordのアプリケーションもクラウドネイティブ化が進もうとしている、2015年はその幕開けの年、と話した。

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