ログオンスクリプトをグループポリシーに置き換えるには?基礎から分かるグループポリシー再入門(13)(2/2 ページ)

» 2015年11月27日 05時00分 公開
[国井傑(Microsoft MVP for Directory Services)株式会社ソフィアネットワーク]
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アプリケーションのショートカットを作成する

 ユーザーが実行しやすくなるといった理由から、デスクトップ上に業務で使用するアプリケーションのショートカットを置くといった運用はよく行われている。ショートカットを作成する操作はログオンスクリプトでも実現できるが、こちらもグループポリシーで簡単に構成してみよう。

 デスクトップにショートカットを作成する設定は、次の項目から構成する。

デスクトップにショートカットを作成する

・「ユーザーの構成」−「基本設定」−「Windowsの設定」−「ショートカット」


 「グループポリシーの管理」管理ツールの左ペインで「ユーザーの構成」→「ショートカット」を右クリックして、「新規作成」→「ショートカット」を選択すると、「新しいショートカットのプロパティ」画面が表示される(画面4)。

画面4 画面4 GPOの「ショートカット」を右クリックして、「新規作成」→「ショートカット」を選択する

 「新しいショートカットのプロパティ」画面では「名前」欄にショートカットの表示上の名前、「場所」欄にショートカットの作成場所、「ターゲットパス」欄に実行プログラムのパスをそれぞれ指定する。

 なお、前出の画面4では実行プログラムのパスに「%SystemDir%」を指定しているが、これは「C:¥Windows¥System32」フォルダーを表す環境変数だ(もちろん、環境変数を使わずにフルパスで指定することも可能)。利用可能な環境変数は「ターゲットパス」欄で[F3]キーを押すと一覧が表示されるので、環境変数名を知らなくても、簡単に環境変数を使ったパスを指定することができる。

 以上の設定が完了したら、グループポリシーをクライアントコンピューターに適用する。すると、ショートカットの設定が適用されて、クライアントコンピューターのデスクトップ上にショートカットが作成される。ショートカットにはURLも指定できるので、ショートカットから特定のWebサイトにアクセスさせるような設定も可能だ。

まだまだ使えるグループポリシー基本設定

 ここまで見てきたように、グループポリシー基本設定を利用することで、ログオンスクリプトで実現していた設定をグループポリシーで置き換えられることがお分かりいただけたと思う。今回紹介した設定以外にもさまざまな基本設定があるので、今後の連載で具体的な利用方法を紹介していく予定だ。

column:クラウドからグループポリシーを使うには?

 マイクロソフトは、Microsoft Azure上で動作させるドメインコントローラー機能「Azure Active Directoryドメインサービス(AADDS)」をリリースした(2015年11月末現在プレビュー版)。

 これまで、Microsoft Azure仮想マシンをドメインに参加させる場合は、ドメインコントローラーとなるAzure仮想マシンを1台作成する必要があった。AADDSの登場によって、ドメインコントローラーとなるMicrosoft Azure仮想マシンを作成しなくても、サービスとしてドメインコントローラー機能が利用できるようになった。

 AADDSのユーザーはAzure Active Directory(Azure AD)に作成されたユーザー情報を同期して利用することになっており、ユーザー自体の管理はAzure AD上で行う(図1)。また、Azure ADはオンプレミスのドメインコントローラーとも同期できるので、オンプレミスのドメインコントローラーに作成したユーザーと同じユーザーをAADDSでも利用できる。

図1 図1 既存のドメインコントローラーとAADDSの関係

 さらに、AADDSではオンプレミスのWindows Serverのドメインコントローラーと同じ機能が利用できるため(現時点では一部機能制限あり)、AADDSからAADDSのドメインに参加するAzure仮想マシンに対してはグループポリシーを適用することが可能になる。

 グループポリシーの設定は、ドメインに参加しているAzure仮想マシンで「グループポリシーの管理」管理ツールから行える。なお、本稿執筆時点(2015年11月末)では、AADDSのドメインでGPOを作成したり、リンクを設定したりすることができないため、既定で用意されている4つのGPOだけが利用可能だ(画面5)。

画面5 画面5 AADDSのグループポリシー管理ツール画面

 「AADDC Computers OU」にはAADDSドメインに参加するコンピューター、「AADDC Users OU」にはAzure AD上に作成されたユーザーが登録される。適用対象に合わせてOU(Organizational Unit:組織単位)にリンクされたGPOを開き、編集すれば、Azure仮想マシンを利用するコンピューターやユーザーに対して、簡単にグループポリシーを適用できるようになる。


「基礎から分かるグループポリシー再入門」バックナンバー

筆者紹介

国井 傑(くにい すぐる)

株式会社ソフィアネットワーク取締役。1997年よりマイクロソフト認定トレーナーとして、Active DirectoryやActive Directoryフェデレーションサービス(AD FS)など、ID管理を中心としたトレーニングを提供している。2007年よりMicrosoft MVP for Directory Servicesを連続して受賞。なお、テストで作成するユーザーアカウントには必ずサッカー選手の名前が登場するほどのサッカー好き。


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