グループポリシーでは「管理用テンプレート」を追加することで、設定項目を拡張することができる。今回は、管理用テンプレートの追加で利用可能になるグループポリシーの設定項目を紹介する。
グループポリシーの設定項目には「管理用テンプレート」というカテゴリーが用意されており、この管理用テンプレートの項目はドメインコントローラー(以下、DC)の「C:\Windows\PolicyDefinitions」フォルダ(既定の場合)に配置されたファイルの内容が読み込まれて表示される。つまり、「PolicyDefinitions」フォルダに管理用テンプレートを配置すれば、グループポリシーの設定項目を拡張できることになる。
管理テンプレートはアプリケーションベンダーからも提供されており、「テンプレートファイル」(拡張子.admxファイルとその関連ファイル/フォルダ群)をDCの「PolicyDefinitions」フォルダに配置することで、グループポリシーの設定項目を拡張できる。本連載の第15回では、その一例として「Windows 10の管理用テンプレート」の追加方法を紹介したが、今回はさまざまなアプリケーションの管理テンプレートを追加する方法を紹介する。
WordやExcelなど、Officeアプリケーションの設定をカスタマイズするために提供されているのが「Office 2016用の管理用テンプレート」だ(マイクロソフトでは、Office 2016用以外にも、Office 2010用、Office 2013用の管理用テンプレートを提供している)。ちなみに、Office 365 ProPlusをインストールすると、Office 2016がインストールされるので、「Office 2016用の管理用テンプレート」を利用して設定をカスタマイズできる。
上記Webサイトからダウンロードした管理用テンプレートをDCの「PolicyDefinitions」フォルダに配置して、「グループポリシーの管理」管理ツールから「グループポリシーオブジェクト(GPO)」の編集ツール「グループポリシー管理エディター」を開くと、Office 2016(の各アプリケーション)の設定項目が「管理用テンプレート」の中に追加されていることが確認できる(画面1)。
Officeアプリケーションに関連するグループポリシーの設定項目は非常に多いので、今回は利用方法の一例として、2つの設定項目を紹介する。
1つ目は「管理用テンプレート」→「Microsoft Office 2016」→「ファイルを開く/保存ダイアログ」→「参照の制限」内にある「参照の制限を有効にする」項目と「場所を承認する」項目だ(画面2)。
Officeアプリケーションで作成したファイルを保存する際、「場所を承認する」項目でファイルを保存できる場所を指定し、「参照の制限を有効にする」項目を有効にすることで、「場所を承認する」項目で指定した場所以外への保存ができないように構成することができる。
この設定を利用すれば、シンクライアントやノートPCなどでローカルディスクへのファイルの保存を禁止できるので、端末の紛失や盗難などによる情報漏えいのリスクを軽減することができる。
もう1つ紹介したいのは、「ユーザーの構成」→「ポリシー」→「管理用テンプレート」→「Microsoft Outlook 2016」→「Outlookのオプション」→「その他」→「古いアイテムの整理」内にある「[ファイル]メニューの[古いアイテムの整理]を無効にする」項目だ。
Exchange OnlineやExchange ServerにOutlookを接続して利用している場合は、Outlookはサーバ内のメールボックスを参照するだけで、メール本体はローカルには保存されないようになっている(設定によってはキャッシュが保存される場合はある)。これによって、いつでも、どこでも同じ内容のメールを参照できるようになっている。
ところが、Outlookの設定にある「古いアイテムの整理」メニューを有効にすると、メールはクライアントコンピュータのローカルにダウンロードされ、サーバのメールボックスにメールが残らなくなってしまう。「[ファイル]メニューの[古いアイテムの整理]を無効にする」項目を有効化すれば、このようなトラブルを避けることができる。
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