データベースというソフトウエア技術を追いかける本連載で「SPARC」について言及する日が来るとは思いませんでした。今回はオラクルのデータベース性能を強化するためのチップに実装された技術「Software in Silicon」を深追いします。
「SPARC」とはサン・マイクロシステムズが開発、製造したマイクロプロセッサーです。2015年10月、米オラクルは年次イベント「Oracle OpenWorld 2015」(以下、OOW15)で次世代SPARCである「SPARC M7」の詳報と、SPARC M7を搭載したサーバー製品を発表しました。本稿では、このSPARC M7に搭載されたデータベース性能を強化する技術「Software in Silicon」を深追いしていきます。
いったん過去を振り返りましょう。米オラクルは2009年4月、サンの買収を発表し、翌年2010年1月に買収が完了しました。それはIT業界の内外を問わず、とても大きなニュースでした。サンはオープンソースのデータベース「MySQL」を持っていましたから、MySQLの方向性も心配されたほどです。
Oracle Databaseを中心とする商用ソフトウエアの巨人であるオラクルが、買収によってサンが保有するハードウエアとJava、他にも多くのオープンソースソフトウエアを手にしました。その影響は、まずデータベース処理に特化したオラクルのアプライアンスである「Oracle Exadata」に見られました。
2008年9月に発表された初代のOracle Exadataは、当時の米Hewlett-Packardのハードウエアを用いていました。しかしサン買収を発表した翌年、2009年9月に発表された第二世代のOracle Exadataはサンのハードウエアに替わりました。オラクルはこの買収で、ソフトウエアもハードウエアも自社でまかなえる、つまり、データベース性能に最適化したハードウエアとソフトウエアを一体化した製品(アプライアンス、オラクルは「エンジニアドシステム」と呼んでいます)を提供できるようになりました。昨今はビッグデータ解析に最適化した「Big Data Appliance」などのように、アプライアンスも拡充されています。
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