日本オラクルが「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」を開催。その基調講演に、米オラクルのCTO、ラリー・エリソン氏が登壇、「Oracle Cloud」推進のために日本にデータセンターを開設する構想を明らかにした。
2015年4月9〜10日の2日間、日本オラクルは「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」を開催している。その基調講演に米オラクルのCTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)であるラリー・エリソン氏が登壇した。
エリソン氏は、まず、オラクルによるSaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)、DaaS(Data as a Service)などを包括する「Oracle Cloud」のうち、SaaS「HCM(Human Capital Management) Cloud」サービスの直近の成長を示した。
Oracle Cloudは2012年に発表したクラウドサービスで、当初、Oracle DatabaseやJavaアプリケーション実行環境といったPaaS「Oracle Cloud Platform」を軸に展開してきたが、直近では、前述のHCM CloudのようにSaaS型アプリケーションの提供も始めている。講演冒頭でエリソン氏がHCM Cloudの成長を示したことで、もはやOracle CloudがPaaSだけではないことを証明したといえる。
HCM Cloudについて、エリソン氏は「(単にオンプレミスのアプリケーションをクラウドサービス上に置き換えたような)ホスティングサービスではない、クラウド上のアプリケーションサービス」であるとして、ソーシャル連携、マルチデバイス対応、BI(ビジネスインテリジェンス)ポータル機能などを、現代的なSaaSとして価値のある形で提供している、とSaaSビジネスの成功をアピールした。
その上で、SaaS/クラウドビジネスに関しては「いま、オラクルにとっての競合はSAPでもIBMでもなく、セールスフォースドットコムとAmazon Web Services(AWS)。彼らを抜いてSaaS/クラウド市場で一番になる」と宣言した。
この日、エリソン氏はOracle Cloudを支えるデータセンターについても言及。現在各国に拠点を構えており(19拠点)、「今年中に日本にもデータセンターを用意する」と国内データセンターの開設を明言した。
なお、IaaS領域については、Oracle Exadataなどの同社「エンジニアド・システム」のハードウエアをリースの形態でユーザー/パートナー企業に提供する「Orcle IaaS Private Cloud」を発表している。
基調講演ではラリー氏の講演に続き、日本国内のパートナー企業トップを交えたパネルディスカッションも行われた。
直前に国内データセンターの話題が出たが、これについてエリソン氏は「他国ではオラクルが直接サービスを販売している。ただし、日本の商習慣はよく理解しており、パートナー各社を介したセールスの重要性も理解している。日本国内にデータセンターを置く必要はあるが、一方で、パートナーのデータセンターに向けてもサービスを提供する方針だ。日本国内にはパートナーのデータセンターを含め複数の拠点を持つことになるだろう」と語った。
なお、この日、日本オラクルでは、PaaS「Oracle Cloud Platform」に特化してエンジニア向けワークショップの展開やパートナー企業との協業に向けた活動をを進める組織を発足。同社が持つ検証センター「Oracle Solution Center」でもオンプレミス/Oracle Cloud間のハイブリッドクラウド検証環境を整備することを発表している。現在日本国内で提供中のOracle Cloud Platformサービスは下記の五つ。
日本オラクルでは、Oracle Database、Javaのエンジニア約一万人を対象に、Oracle Cloud Platform技術者育成も推進する。
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