SQL Server 2005のサポートが2016年4月12日に終了する。残り約130日。日本マイクロソフトによると、エンジニアや情シス部門などの“詳しい人”も見落としてしまうSQL Server 2005の「ひっそり残っている、対策の落とし穴」があるようだ。
「え? こんなところでも動いていたの?」──。
マイクロソフトのリレーショナルデータベース管理ソフトウエア(RDBMS)「Microsoft SQL Server 2005(以下、SQL Server 2005)」が2016年4月12日(日本時間)にサポートを終える。
SQL Server 2005は2005年12月に発売。メインストリームサポートの5年、延長サポートの5年、合計10年間のサポートを同日に終了する。日本マイクロソフトは、サポート終了が迫るSQL Server 2005の早期移行を促す広報活動を急ピッチで進め、移行支援施策を強化している。
中でも、「システムの裏側で残り続けているケースがかなり多い」(日本マイクロソフト 業務執行役員 SMB営業統括本部長の佐藤亮太氏)のだという。楽天リサーチが2015年11月に行った「SQL Server使用状況調査」によると、SQL Server 2005の利用率はSQL Server全体の約15%も占めており、2015年12月現在、日本でも約12万台のSQL Server 2005が稼働しているという。
SQL Serverを単体で管理するエンジニアなどの実務担当者からすると、「うちはとっくにバージョンアップしている。もう使っていない」と思うかもしれない。しかし、こういったエンジニアやIT担当者の管理下にあるものとはおそらく違う、ひっそりとシステムの裏で残り続けている「隠れSQL Server」があるのだという。
「無償版のSQL Serverが多くの会計パッケージソフトウエアに組み込まれています。その数は約7万台とみています」(日本マイクロソフトの佐藤氏)
総務部門が使う会計・人事システムはIT部門の管理外/担当外であることも多く、普段は意識されていない。しかもユーザーはSQL Serverを使っている意識がない。ここが、絶対数こそ多いものの、存在は把握しやすかったWindows XPや、実務担当として自身が触れていたWindows Server 2003との違いで、SQL Server 2005対策の“落とし穴”だという。
もちろん会計ソフトウエアも、制度改正対応やセキュリティ対策の強化などのバージョンアップを重ねており、現バージョンではSQL Server 2005より新しいSQL Server 2014などを使用している。会計ソフトウエアのバージョンアップさえしていれば、裏で動いているSQL Serverのバージョンも上がっていることになる。しかし、「特に困っていないから。まだ使えるから」といった理由で古い会計ソフトウエアをそのまま使い続けている企業もある。特にIT専任者のいない中小企業にその傾向が強い。
「ただし、SQL Server 2005のサポートが終了するので、お金を払ってバージョンアップしてください──ではまったく理解してもらえません。SQL Serverを使っている意識がないのですから、当然ですよね」と、基幹業務ソフトウエア「奉行シリーズ」を展開するオービックビジネスコンサルタント(以下、OBC) 開発本部部長の日野和麻呂氏は述べる。
OBCは、最新バージョン「奉行10」への移行推進を“業務改善”をテーマに訴求した。マイナンバー制度やクラウド対応を中心に、制度改正、IT革新、企業成長といった具体的な企業課題のポイントと、できることを前面に出し、ぜひ──と促した。その結果、奉行シリーズで使われるSQL Server 2005の稼働率を、直近18カ月で約62%から約19%まで減らすことに成功した。奉行10はSQL Server 2014に対応し、オンプレミスおよびクラウド(Microsoft Azure上で稼働)での相互運用をサポート。Microsoft Azureのクラウド環境を活用した「マイナンバー収集保管サービス」を用意し、マイナンバー実務の多くを担う人事や経理担当者へ具体的に訴求したことで、自身の業務のために必要という新バージョンのメリットを理解してもらえたという。
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