SE自身は、自分たちの労働環境をどう思っているのでしょうか。3K(「きつい」「帰れない」「給料が安い」)と思っているのでしようか。SEの皆さんに聞いてみました。
SEの労働環境は悪いと思いますか?
SEの仕事は、残業が多くきついと言われる一方、空調が効いた部屋での内勤で恵まれているという意見もあります。皆さんのご意見は?
NO | 意見 | 件数(パーセンテージ) |
---|---|---|
1 | 劣悪な労働環境 | 23件(20.9%) |
2 | 他の仕事と比べ、やや悪い | 34件(30.9%) |
3 | 他の仕事とそれほど差はない | 16件(14.5%) |
4 | 他の仕事と比べたら恵まれている方だ | 24件(21.8%) |
5 | かなり快適な労働環境 | 8件(7.3%) |
6 | どちらとも言えない | 5件(4.5%) |
結果は、厳しい意見(労働環境が悪い)が多いようです。でも、「かなり快適な労働環境」や「他の仕事と比べたら恵まれている方だ」と答える人も3割ほどいることも事実です。
SEに限らず、どの職種の人にこの質問をしても、厳しめの意見が返ってくると想像できます。そう思うとSEの仕事は、世間の皆さんが思うほど、悪い環境ではないかもしれません。
アンケートのコメントには、「恵まれている点もあれば、そうでない点もあるでしょうね(40歳代/男性)」「比較対象によるのでは。拘束時間と責任を考えれば医者よりいいかも(男性)」という意見がありました。これはその通りだと思います。SEよりもっと良い環境の仕事もあれば、そうでないところもあります。また、「他社常駐型は過酷、2次受け以降は特に(30歳代/男性)」などの意見もありました。同じSEでも、勤務する企業や与えられた仕事によって、過酷さが変わってくるのです。
「SEは3Kなのか」という問いの答えは、「場合による」が正解でしょうか。同じSEでも、就職する企業や部署、上司、時期などによって、かなりばらつきがあります。
第1回の記事でベンダー企業のSEとユーザー企業のSEの置かれている環境の違いを紹介しました。日本のユーザー企業のSEは、実際のシステム構築やソフト開発は外注することが一般的です。ですから、徹夜をしてシステムを作り上げることは、ベンダー企業のSEに比べたら少なくなります。
2次請け、3次請けとなるに従い、労働環境が悪くなるというのは、やや事実でしょう。また、SEとプログラマでも違います。プログラマはシステムが動くまで作り上げる必要がありますから、納期前はとてもハードです。
このように、一口にSEと言っても、残業がほぼゼロの人もいれば、100時間を超えている人もいます。私の別のアンケート調査では、先月の残業時間が10時間以内であった人が30パーセントもいたのに対し、100時間超えの人も5パーセントいました。最高は180時間です。本当に、まちまちです。
最初のアンケートでも、「つらいと思うことはない」という人が、全体の20パーセント弱もいました。もしかしたら、彼らにとっての3Kは「快適」「気楽」「気まま」なのかもしれません。
営業担当者が暑い日も寒い日も雨の日も外回りをするところを、エアコンが効いた部屋で大好きなPCに向かっているから、SEは「快適」、お客さまと難しい調整をすることや、数字のノルマに追われること、謝りに行くことなどがないのでSEは「気楽」、さらにSEは個人商店に近い場合もあるので、誰かに監視されることもなく自由「気まま」に仕事ができる、と捉えているのかもしれません。
SEは3Kという悪いイメージがありますが、実際にはそうでないこともあります。先輩SEの皆さんの意見を聞きながら、自分に合った職場を見つけてください。
現役のSE(システムエンジニア)兼ITライター。
技術士(情報工学)やネットワークスペシャリストなどのIT資格を多数保有。著書に「どこかで見た・聞いた・体験した!SEあるある四方山話〜SE100人に聞いた今どきのSEの生態」(技術評論社)、ネットワークスペシャリスト試験対策の「ネスペ」シリーズ(技術評論社)、情報セキュリティスペシャリスト試験対策の「セスぺ」シリーズ(日経BP社)など多数。
Twitter:@3mon44
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