アンケート結果が示すように、SEの仕事に3Kの一面はあります。では、その理由は何でしょうか。私は「納期の厳しさ」と「突然の仕様変更」にあると考えます。
システムは、納期までに作り上げなくてはいけません。しかし「納期は決まっているのに、具体的にどういう機能にするのか、仕様が決まっていない」なんてことが、IT業界にはたくさんあるのです。お客さまは「あれもこれもやりたい」と言いますが、予算の都合もあって全部は実現できないことが多いのです。最終的な仕様が決まるのは、そこから作り始めても通常の働き方ではとても納期に間に合わないような状況になってから、なんてことがままあるのです。
突然の仕様変更もSE泣かせです。仕様変更とは「何をどう作るか」を変えることですが、お客さまはときに、むちゃな要求をしてくることがあります。ビルの建築に例えると、ビルを30階まで作った後に「2階と3階の間に中2階を作ってほしい」などというようなものです。
ビルであれば、後からの増設は物理的に無理なことは明らかですが、システムの場合は、お客さまにはなかなかその難しさが分かりません。データベース構造を変えたりする仕様変更は大きく作り直す必要があり、そうやすやすとは承認できません。でも、営業担当が無理な仕様変更を受け入れてしまい、その結果SEが3Kに落ち入ってしまうことも多いのです。
SEの残業時間はどうなのでしょうか? 3Kの一つ、「帰れない」が事実であれば、ものすごい残業時間になりそうです。
「政府統計の総合窓口」から「平成26年賃金構造基本統計調査」の「職種」から、各職種の平均残業時間を抜き出しましたので、ご覧ください(「超過実労働時間数」が残業時間です)。
職種 | 所定内実労働時間数 | 超過実労働時間数 | 計 |
---|---|---|---|
システムエンジニア | 156 | 22 | 178 |
プログラマ | 161 | 20 | 181 |
医師 | 161 | 13 | 174 |
歯科医師 | 171 | 1 | 172 |
高等学校教員 | 163 | 2 | 165 |
記者 | 156 | 26 | 182 |
百貨店店員 | 161 | 7 | 168 |
電車運転士 | 143 | 16 | 159 |
営業用バス運転者 | 167 | 41 | 208 |
航空機操縦士 | 136 | 2 | 138 |
どうでしょう。1カ月当たり「SEが22時間」「プログラマが20時間」と、それほど多くありません。記者や営業用バス運転者など、もっと残業時間が多い職種もあります。その他、銀行員や官僚なども遅くまで仕事をしています。私は知り合いに漫画家が何人かいますが、彼らはえげつないほど長時間労働です。それと比べたら、労働条件はいい方ではないかという気がします。
ただ、この表の残業時間は実態よりも短いと感じた人が多いのではないのでしょうか。私も、本当の残業時間はもう少し長いと思います。それは、SEやプログラマだけでなく、医者や記者など、他の職種も同じだと思います。
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