では、実際に高可用性WordPressシステム環境を構築していきましょう。
パーティション | 領域 | デバイス名 |
---|---|---|
boot | 500MB | /dev/sda1 |
/ | 20GB | /dev/sda2 |
swap | 4GB | /dev/sda3 |
空き領域 | 273.5GB | |
OSのインストールは任意の方法で実施して構いませんが、このシステムでは、パーティションを構成する際にDRBD専用の領域を二つ作成しておく必要があります。例えば、ストレージ容量が300GBのマシンでしたら、右の表のようにパーティションを作成して、空き領域を確保しておいてください。
空き領域はひとまずそのままにして、OSのインストールを済ませます。OSのインストールが不安でしたら、以下の参考記事も一緒にご覧下さい。前回の「“Sambaサーバーの冗長化”をDRBDでサクッと実現してしまう方法」で紹介したOSインストール準備の手順と同じです。こちらも参照していただきながらOSのインストールと、「一時的にfirewalldやiptablesのサービスと自動起動を止める」「パッケージのアップデート」までを済ませて下さい。
今回は空き領域をそのままにしてOSインストールを済ませましたが、「LVM(Logical Volume Manager:複数のストレージやパーティションにまたがった記憶領域を一つの倫理ボリュームとして扱うこと、およびその管理機能)」として領域を確保し、その後にパーティションを二つ作成する手順でも問題ありません。
OSインストール時に空けておいた領域へ、partedコマンドを使用してDRBD用のパーティション領域を作成します。
まずはディスクの状態を確認します。parted /dev/sdaコマンド実行後に、print freeで詳細が表示されます。以下は使用ディスクが/dev/sdaの場合の例です。こちらは、自身が運用する環境に応じて適宜読み替えてください。
# parted /dev/sda GNU Parted 3.1 /dev/sda を使用 GNU Parted へようこそ! コマンド一覧を見るには 'help' と入力してください。 (parted) print free モデル: ATA VBOX HARDDISK (scsi) ディスク /dev/sda: 300.0 GB セクタサイズ (論理/物理): 512B/512B パーティションテーブル: msdos ディスクフラグ: 番号 開始 終了 サイズ タイプ ファイルシステム フラグ 32.3kB 1049kB 1016kB 空き容量 1 1049kB 525MB 524MB primary xfs boot 2 525MB 22.0GB 21.5GB primary xfs 3 22.0GB 26.3GB 4295MB primary linux-swap(v1) 26.3GB 300.0GB 273.7GB 空き容量 (parted)
ここから、「26.3GBから300.0GBまで」が空き領域であることが確認できました。
今回はこの空き領域に二つのプライマリパーティションが必要です。mkpart extendedコマンドで拡張領域を作成し、その中に新しいパーティションを二つ作成します。
(parted) mkpart extended 26.3GB 300.0GB
これで、26.3GB目から300.0GB目までが拡張領域として確保されました。print freeで拡張領域が作成されたことを確認します。
(parted) print free モデル: ATA VBOX HARDDISK (scsi) ディスク /dev/sda: 300.0 GB セクタサイズ (論理/物理): 512B/512B パーティションテーブル: msdos ディスクフラグ: 番号 開始 終了 サイズ タイプ ファイルシステム フラグ 32.3kB 1049kB 1016kB 空き容量 1 1049kB 525MB 524MB primary xfs boot 2 525MB 22.0GB 21.5GB primary xfs 3 22.0GB 26.3GB 4295MB primary linux-swap(v1) 4 26.3GB 300.0GB 273.7GB extended lba 26.3GB 300.0GB 273.7GB 空き領域 (parted)
「4」が拡張領域(extended)となりました。
この拡張領域に新しいパーティションを二つ作成します。今回はWordPressのコンテンツ用に100GB、残りをデータベース用のパーティションとして確保します。コマンドは以下の通りです。
(parted) mkpart logical xfs 26.3GB 126.3GB (parted) mkpart logical xfs 126.3GB 300.0GB
print freeで新しいパーティションが二つ作成されたことを確認します。
(parted) print free モデル: ATA VBOX HARDDISK (scsi) ディスク /dev/sda: 300.0 GB セクタサイズ (論理/物理): 512B/512B パーティションテーブル: msdos ディスクフラグ: 番号 開始 終了 サイズ タイプ ファイルシステム フラグ 32.3kB 1049kB 1016kB 空き容量 1 1049kB 525MB 524MB primary xfs boot 2 525MB 22.0GB 21.5GB primary xfs 3 22.0GB 26.3GB 4295MB primary linux-swap(v1) 4 26.3GB 300.0GB 273.7GB extended lba 5 26.3GB 126.3GB 100.0GB logical 6 126.3GB 300.0GB 173.7GB logical (parted)
「5」「6」に新しいパーティションが作成されました。ファイルシステム欄は空白で問題ありません。これを確認できたらquitでpartedコマンドを終了します。
「/etc/hosts」ファイルに、一号機(プライマリ機)と二号機(セカンダリ機)のホスト名を追記します。後述するDRBDの設定ファイルは、/etc/hostsに記載されているホスト名でホストを判断するためです。忘れずに設定してください。
ホスト名は任意で構いません。今回は「wp-ha1」「wp-ha2」としました。IPアドレスはDRBDレプリケーション用のIPアドレスを記述します。
10.0.1.1 wp-ha1 10.0.1.2 wp-ha2
DBRDのインストールと設定については、前回の「“Sambaサーバーの冗長化”をDRBDでサクッと実現してしまう方法」でも解説しました。「EPELのリポジトリを追加する」、「リポジトリ追加後にDRBDをインストールする」までほぼ同じ手順ですので、こちらを参照しながらDRBDのインストールを済ませてください。
今回は、「リソースを二つ作成する」手順に違いがあります。前回はr0というリソースを一つだけ作りましたが、今回はWordPress用の「r0」と、MariaDB用の「r1」、計二つ作成します。詳しくは次ページで解説します。
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