「やりたいこと」を探すうちに、就活生がはまりがちな「トラップ(わな)を紹介しよう。
就活準備で誰もがハマってしまいがちなトラップその1は、情報が多過ぎて混乱し「自分を見失ってしまう」ことだ。
就活の事前準備はたくさんある。詳細は第2章「ギョーカイ研究、自己分析――いざという時にオロオロしないための「就活準備」基礎の基礎」と、第3章「履歴書、インターンシップ、リクルートスーツ――いざという時にオロオロしないための「就活準備」基礎の基礎 その2」を振り返ってほしい。
就活ナビサイトを活用して業界研究や企業研究をすると、溢れんばかりの情報を得られる。しかし、それらの情報の多くは、自分が見聞きしたり、体験したりして得た情報ではない。
そのため、社会経験に乏しい就活生には、どれが正しい情報なのか、どれが自分にとって有益な情報なのか、判断が付かないのだ。その結果、氾濫する情報におぼれたり流されたりして、ワケが分からなくなってしまう人もいる。
多くの学校の就活ガイダンスでは、「就活準備段階にすべき行動」として次の項目を上げている。
就活生を待ち受ける一番大きなトラップは、「2」の自己分析プロセスにある。
就活の自己分析は、簡単に言えば、過去を振り返り、経験を整理し、経験ベースで伝えられる特徴を見つけ、自己PRにつなげるワークだ。
問題は、自己分析プロセスで分かるのは、「これまでに自分が経験したこと」「そこで培った能力や技能」であって、将来を規定するものではないということだ。つまり、自己分析で「これまでの自分」は整理できるが、「これからの自分」は分からないということだ。
ところが、これまでの経験から将来の自分を直線的に導こうとする就活生が多くいる。例えば「高校大学と体育会系でもまれてきた」から「営業が向いている」とか、「コツコツやるのが好き」だから「調査や研究の仕事が合っている」とか。
しかし、ことはそう簡単にはいかない。自己分析を一概に否定するわけではないが、そうやって導き出された答えが「やりたいこと」とは限らない。
過去の延長線上に未来を描こうとしても、それが本当に「やりたいこと」なのか確信が持てず、それが進むと「何がやりたいのか分からない」と悩み、いわゆる「自分探し」の旅に……という人もいる。
やりたいこと探しをさらに混乱させるのが、自己分析ツール「適職診断」だ。
今までの経験や考え方に基づいて設問に答えていくと、自分にフィットした仕事や業界が例示されるお役立ちツールだ。就活ナビサイトや学校の就活ガイダンスで経験した人も多いだろう。
診断結果を参考程度に受け止められれば、何の問題もない。しかし、結果をうのみにして、「自分に向いている仕事は○○、業界は○○」と決めつけて就活を進めると、後々、悩むことになりかねない。
採用の選考段階では、入社動機や希望する仕事を何度も尋ねられる。その過程では、自分の気持ちと向き合うことが、否が応でも必要になる。適職診断の結果のみを信じて気持ちに逆らうような選択をすると、ウソをつかなければならなくなる。ウソをごまかすためにウソをつき、自分の気持ちにもウソをつき、気が付いたら何が本当か分からなくなる……。
自分にウソをつくと、後が大変なのだ。
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