セキュリティ関連のキーワードについて、とことん基礎から解説する本連載。第7回では、Webサイトなどがユーザーの行動を追跡(トラッキング)する仕組みについて解説します。
インターネット上では、自分が興味のある広告が表示されて便利ですね。
なぜ興味のある広告が表示されるのか、理由を考えたことはありますか?
企業にとって広告は、自社の商品を多くの人に知ってもらうための重要な手段です。テレビではCMが使われますし、新聞や雑誌にも多数の広告が掲載されています。しかし、商品に興味がない人にとって広告は不要なだけでなく、場合によっては“邪魔”だと感じられてしまうかもしれません。
そこで企業としては、「ターゲットをどうやって絞るか」がポイントになります。テレビの場合は時間帯や放送内容によって、ある程度の視聴者を想定しています。新聞の場合は記事の内容に合わせた広告を掲載し、雑誌の場合は読者層をターゲットに広告を作成します。
では、インターネットではどうでしょうか? インターネットの場合、利用者のWebサイトの閲覧履歴などに従って広告が配信されます。広告の表示にどのような情報が使われているのか分からず、不安に感じる人も多いのではないでしょうか? 例えば、住んでいる場所の近くのお店の情報が表示されたり、転職を考えているときに転職サイトの広告が表示されたりすると、「個人情報が漏えいしているのでは?」と疑ってしまう人もいます。
私がどんなサイトを見ているか、全て把握されているということですか? 怖いです。
全てではありませんが、広告の配信に必要なさまざまな情報が、インターネット上では収集されています。
インターネットで私たちの興味に合っているような広告が配信される背景には、「リスティング広告」「リターゲティング広告」「インタレストマッチ広告」などの仕組みがあります。
リスティング広告では、登録されたキーワードが検索されたときに、そのキーワードに関連する広告を配信します。Googleなどの検索結果画面に表示される広告をイメージするとよいでしょう。この方式は、利用者の行動を分析するのではなく、広告主が想定した「キーワード」を広告表示に用いるものです。
リターゲティング広告は、一度あるサイトを訪問した利用者のブラウザに情報を保存しておき、他のサイトを表示しているときに、過去に閲覧したサイトに関する広告を配信するものです。特定の情報に興味を持った利用者を誘導するには有効だとされています。
最後のインタレストマッチ広告は、利用者の性別や年齢層、過去に訪問したサイトなどの情報を組み合わせて、関心が高そうな利用者に向けて特定の広告を配信する方式です。便利な仕組みではありますが、自分の行動が監視されているようで、ユーザーが不安を抱いてしまうこともあるようです。
次ページからは、ECサイトなどにおける「リコメンド」の仕組みについて解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.