続いて、Webサーバ経由でのPHP 5.6環境を有効化します。
[root@ip ~]# systemctl enable php-fpm [root@ip ~]# systemctl restart php-fpm
これで、前回紹介したテクニックの最後に用意したApacheのevent MPM+php-fpm構成が、PHP 5.4からPHP 5.6になりました。「OPCache」と「APCu」も導入済みです。
ブラウザでトップページにアクセスしてください。初回のみ少し時間がかかりますが、2度目以降のリロードでページのロード時間が速くなっていることが確認できます。筆者の環境では、およそ32ms前後になりました。
続いてabコマンドでベンチマークを取ります。
[root@ip ~]# ab -n 100 -c 10 http://ec2-xxx.xxx.compute.amazonaws.com/
筆者の環境では、1秒当たりの同時アクセス数を示す“Requests per second”は「61.84」となりました。若干ですが、PHP 5.4よりもパフォーマンスが向上しました。ここまでのチュ−ニング内容をまとめると以下になります。
チューニング内容 | ページのロード時間 (デフォルト環境比) |
1秒当たりの同時アクセス数 「Requests per second」(デフォルト環境比) |
---|---|---|
デフォルト環境 | 176ms | 11.24 |
APCの導入 →チューニング方法をおさらい |
70ms(約251%) | 29.20 |
OPcache+APCuを導入 →チューニング方法をおさらい |
66ms(約266%) | 30.51 |
MariaDBの設定を調整 →チューニング方法をおさらい |
64ms(約275%) | 31.82 |
翻訳アクセラレータを導入(キャッシュ) →チューニング方法をおさらい |
53ms(約332%) | 39.29 |
翻訳アクセラレータを導入(翻訳を停止) →チューニング方法をおさらい |
36ms(約488%) | 56.78 |
gzip圧縮を用いる →チューニング方法をおさらい |
35ms(約502%) | ─ |
Tunedの調整 →チューニング方法をおさらい |
34ms(約517%) | 58.47 |
event MPM+php-fpm構成に変更 →チューニング方法をおさらい |
33ms(約537%) | 60.79 |
PHP 5.6+OPCache+APCuを導入 | 32ms(約550%) | 61.84(約550.2%) |
今回のチューニングでは、デフォルト環境と比べて「約5.5倍」高速化されました。
次回は、「PHP 7」を導入して、今回のPHP 5.6よりも「約2.39倍」、デフォルト環境比で「約12.5倍」までチューニングしていきます。
1971年栃木県生まれ。中学1年生で電波新聞社の『マイコンBASICマガジン』にプログラムを寄稿して以来、プログラミング歴30年。早稲田大学法学部を卒業後、野村證券に入社。公認会計士第二次試験合格。2002年にプライム・ストラテジー株式会社を設立、代表取締役に就任する。2005年にPT. Prime Strategy Indonesiaを設立して以来、アジアでのITビジネスに携わる。執筆監訳書籍に『WordPressの教科書』シリーズ(SBクリエイティブ)、『詳解 WordPress』『WordPressによるWebアプリケーション開発』(ともにオライリー・ジャパン)などがある。
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