中堅・中小企業にも手の届くオールフラッシュストレージを投入ピュア・ストレージが新モデル、ネットワールドとも提携

ピュア・ストレージ・ジャパンが、オールフラッシュストレージ製品のエントリーモデル「FlashArray//m10」を発表。大幅に低価格なモデルを投入し、中堅・中小企業にもオールフラッシュストレージを普及させる。

» 2016年04月14日 19時19分 公開
[高橋睦美@IT]

 ピュア・ストレージ・ジャパンは2016年4月14日、オールフラッシュストレージ製品のエントリーモデル「FlashArray//m10」を発表した。最小構成で約500万円からという、これまでのオールフラッシュストレージ製品に比べ大幅に低価格なモデルを市場に投じ、主に中堅中小企業を対象に販売を開始する。

photo 「FlashArray//m」シリーズ

 ピュア・ストレージ・ジャパンは「No Disk」というビジョンを掲げ、オールフラッシュストレージ製品「FlashArray//m」シリーズを提供している。独自RAIDによって99.999%の可用性を確保する他、独自OS「Purity」で重複排除やインライン圧縮といった機能を実装し、大きなデータ削減効果を実現することが特徴だ。さらに、SaaS(Software as a Service)形式で提供される管理インタフェース「Pure1 Manager」、ニーズに合わせて停止することなくストレージのアップグレードを行える「Evergreen Storage」プログラムなども提供している。

 これまでのFlashArray//mシリーズは主に、大規模エンタープライズやデータセンター向けに提供されてきた。これに対し新製品は、中堅中小企業にもオールフラッシュストレージを届け、それを活用したVDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)などのアプリケーションを展開することを狙っている。

 FlashArray//m10の物理容量は5TB/10TB、最大有効容量は12.5TB/25TBで、最大10万 32K IOPSの性能を備えている。CPUは既存モデルより低い性能のものを採用しているというが、それ以外に機能面で違いはない。米ピュア・ストレージ アジア太平洋地域および日本担当副社長のマイケル・アルプ氏は「ティアワンクラスのエンタープライズに提供してきた機能や信頼性を中小企業にも提供する」と述べた。

 ピュア・ストレージ・ジャパンの代表取締役、山田秀樹氏は「かねがね『オールフラッシュがいいことは分かるが、それでも今のレンジではまだ高い』という声をいただいてきた。加えて、日本のお客さまはまずスモールスタートでうまくいくかどうかを検証し、その上で展開したいと考えるケースが多い」と述べた。新製品はこうした課題を解決するものだという。

 同時に、FlashArray//m10をシスコシステムズの「Cisco Unified Computing System(Cisco UCS)」およびネットワークスイッチと統合し、VMwareやマイクロソフトの仮想化ソフトウェアを搭載したコンバージドインフラ製品「FlashStack Mini」も発表している。9Uサイズの筐体で最大1200台の仮想デスクトップ環境をサポートできるといい、価格は約1000万円からとなっている。

ネットワールドと提携を結び、中堅・中小企業にもオールフラッシュを

 これらの発表に加え、ピュア・ストレージ・ジャパンはネットワールドとディストリビューター契約を結んだことも明らかにした。ネットワールドでは既にブロックストレージやファイルストレージ製品も多く扱っているが、今回の提携によって、コストパフォーマンスに優れたオールフラッシュストレージ製品をポートフォリオに追加。VDIをはじめ、OracleデータベースやSAPといった基幹アプリケーションの高速化、データアナリティクスといった用途向けに提供していく。

 ネットワールド代表取締役社長の森田晶一氏は、特に、全ユーザーが専用のデスクトップを持つことのできるフルクローン方式VDI基盤としての役割に大きな期待を寄せていると説明した。「ネットワールドはこの20年近く、クライアント仮想化を通じたワークスタイル変革に取り組んできたが、VDIには、ユーザーの快適さという課題があった。値ごろ感のある高速なオールフラッシュストレージが手に届くようになったことで、高速かつ快適にVDIを実現でき、導入が加速するだろう」と同氏は述べている。

photo 左より米ピュア・ストレージのマイケル・アルプ氏、ネットワールド代表取締役社長の森田晶一氏、ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役の山田秀樹氏

 ネットワールドではピュア・ストレージ製品の販売に際し、ベンチマーク情報や貸出機の提供、ハンズオンセミナーの実施といったマーケティング施策を展開していく。加えて、プリインテグレーションセンターでFlashStackの事前構築を行い、コンバージドインフラとして提供する他、24時間365日体制での保守・サポートサービスも提供する予定だ。

 ピュア・ストレージ・ジャパンではこの提携を通じ、地方自治体や大学など、全国各地でオールフラッシュストレージと、それを活用したVDIをはじめとするアプリケーションの展開を狙うという。「日本市場に広く、あまねくオールフラッシュストレージを広めていきたい」(山田氏)

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