上級職への登竜門――ITスペシャリストITエンジニア職業図鑑(8)(2/2 ページ)

» 2016年05月19日 05時00分 公開
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ITスペシャリストの醍醐味(だいごみ)

 ITスペシャリストの仕事の醍醐味(だいごみ)は、2つある。

 1つ目は、特定の技術分野の知識を深め、職人のようにその分野を極めていけることだ。

 2つ目は、目に見えにくい情報システムの分野の中では比較的、目に見える形で成果物が出せる点だ。ネットワークならば配線されているケーブル類や通信機器など、データベースならば蓄積されていくデータ、情報セキュリティならばID/パスワード、セキュリティゲートなどである。

ITスペシャリストに必要なスキルは?

 専門分野によって持つべきスキルは異なるが、共通して必要なのは「新しい技術への好奇心」と「技術情報に対するアンテナの高さ」である。

ITスペシャリストのキャリアパス

 プロジェクトマネジャーやITアーキテクトは、ほとんどがITスペシャリストかアプリケーションスペシャリストの出身だ。これらの上級職は、専門知識のバックボーンがあってこそ、なし得る仕事であるからだ。そういった意味で、ITスペシャリストは「上級職への登竜門」という位置付けになるだろう。

 ITスペシャリストを生涯続ける人もいる。「職人」的な「深い専門知識」と「こだわり」を持ち、特定の技術を極める人は、1つのことをやり遂げる心の強さを持っているといえるだろう。

ITスペシャリストの1週間

 ITスペシャリストは具体的にはどのような仕事を行っているのか。ここでは1つの例として、設計工程におけるITスペシャリストの1週間を紹介しよう。

曜日 活動内容
月曜日 週次で行われているプロジェクト全体進捗・課題管理会議に出席。情報セキュリティ部分の進ちょく報告と課題報告を行う。他のシステム部分の進ちょく状況と課題が情報セキュリティに影響がないかを確認する。チームに戻り、プロジェクト全体会議の結果を伝達する
火曜日 プロジェクト全体会議で発生した課題の解決策を、チーム内で検討する。解決策の実現性を確認するために、実機評価したり、専門メーカーに問い合わせたりする
水曜日 プロジェクトマネジャーに、解決策の実現性、他システムへの影響はないか、いつまでに対応できるか、コスト増加などがないか、などを報告する
木曜日 プロジェクトマネジャーより解決策の承認が得られたので、具体的な設計作業に入る
金曜日 開発に協力してくれるパートナー会社と打ち合わせ。具体的な検討や役割分担を決定する

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奥田友健(おくだ ともたけ)

奥田友健

野村総合研究所 ITアーキテクチャーコンサルティング部 上級システムコンサルタント

1996年、大手メーカー系システムインテグレータ入社。大手保険会社の基幹システム統合などの経験を経て、2006年に野村総合研究所入社。幅広い業種のシステム基盤を中心に、次期システム化構想、システムグランドデザインを行っている。


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