SQL Serverのインストールウィザードで「ルールチェックに失敗」した(インストールトラブル)SQL Serverトラブルシューティング(2)

本連載は、「Microsoft SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、具体的な対処方法を紹介していきます。今回は「インストールウィザードでルールチェックに失敗してしまう」場合の解決策を解説します。

» 2016年06月13日 05時00分 公開
[椎名武史ユニアデックス株式会社]

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 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブルについて、「なぜ起こったか」の理由とともに具体的な対処方法を紹介していきます。

 前回はSQL Serverの「トラブル解決/障害対応の心得」を紹介しました。今回はこれを踏まえて、SQL Serverを使用する上で最初に直面するトラブルとなる、「インストール時の問題と解決方法」を解説します。

 インストール時のトラブルと言っても、その内容はさまざまかもしれません。しかし、「インストールに失敗したと気が付く場面」は、大きく分けて3つあります。

 それでは、場面別にトラブルの原因を探り、解決方法を導きましょう。まず「インストール前」のトラブル例から紹介します。

トラブル 01(カテゴリー:インストール):インストールウィザードでルールのチェックに失敗した

 「Windows Server 2012」上に「SQL Server 2016 RC3」をインストールしているシーンを想定して解説します。

トラブルの実例:システム要件などを事前に確認しないままインストールウィザードを進めたところ、機能ルールのチェックで「失敗:KB2919355」と表示され、止まってしまった。

photo 図1 インストールウィザードで「ルールのチェック」に引っかかってしまい、インストールがブロックされた

トラブルの原因を探る

 図1のエラー表示項目の中にある「失敗」のリンクをクリックすると、「ルールチェックの結果」としてエラーの内容が表示されます。

 このエラーメッセージは、マイクロソフトの定める「インストールに必要なシステム要件を満たしていない」ことが起因しています。

 マイクロソフトが定めるシステム要件によれば、Windows Server 2012 R2にSQL Server 2016 RC1以降のデータベースエンジンをインストールするには、「KB2919355」と呼ぶ修正プログラムが必要と記載されています(*1)。さらに、マイクロソフトのKB2919355の情報ページには、「KB2919355を適用するためには、KB2919442のインストールが必要」とも記載されています(*2)。


 つまり、KB2919442とKB2919355が事前に適用されていないシステムでは、インストール前にインストーラーがチェックする「ルールの条件」に適用できていないので、インストールは実行しない(ブロックする)制御が働いたことになります。これが原因です。

解決方法

「インストールウィザードでルールチェックに失敗した」場合の解決方法

  1. 「ルールチェックの結果」を確認して原因と対策手段を調べる
  2. (本例の場合は)「KB2919442」をインストールする
  3. (本例の場合は)「KB2919355」をインストールする

 このトラブルを解決するには、ポップアップで「失敗」と表示された項目を上記の方法の通りに調べ、全て解消します。解消後に再度ルールチェックを実行すれば、正しくインストールできるようになるでしょう。

ワンポイント

 ちなみにSQL Server 2016に限ると、SQL Server 2016のシステム要件以外のページに、「SQL Server 2016に“PolyBase”の機能を追加するには、“Oracle Java SE RunTime Environment(JRE)version 7.51以上”が必要である」という記載もあります(*3)。

 PolyBaseとは、構造化データ(RDB)と非構造化データ(CSVなど)を関連付けたり、データベースと「Microsoft Azure BLOB Storage」や「Hadoop」と接続したりする機能です。この機能を使う場合は、Version 7.51以降のJREをあらかじめインストールしておくことも必要となります。


 次回は、「インストール中にエラーが発生した」場合の対処方法を解説します。



本トラブルシューティングの対応バージョン:SQL Server 全バージョン

筆者紹介

内ヶ島暢之(うちがしま のぶゆき)

ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜 )。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を行っていた。2016年4月よりIoTビジネス開発の担当となり、新しい仕事に奮闘中。ストレッチをして柔らかい身体を手に入れるのが当面の目標。

椎名武史(しいな たけし)

ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。


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