「フラッシュファースト」時代におけるストレージ選択、“自社に向いている”のは一体どれかフラッシュストレージ徹底解剖 セミナーレポート(1/3 ページ)

一口に「フラッシュストレージ」といっても、特徴はさまざまだ。オールフラッシュの効果はある程度分かっているつもりでも、どの製品が自社に向いているのかは分かりにくいかもしれない。@ITが主催したセミナーでは、楽天のフラッシュストレージ活用の裏側が明かされるとともに、各ベンダーそれぞれの特徴と、選定と選択、活用のポイントが紹介された。

» 2016年06月28日 05時00分 公開
[高橋睦美@IT]

 I/O性能の高さはもちろん、近年の低価格化や大容量化に伴って、ますます存在感を増すフラッシュストレージ。その性能メリットの高さから、各ベンダーがこぞって製品を投入しているが、それぞれどのような特徴があり、使いこなすポイントはどこにあるのだろうか? そんな疑問に答える場として設けられた「@IT 製品比較セミナー フラッシュストレージ徹底解剖」の模様をレポートする。

「@IT 製品比較セミナー “フラッシュストレージ徹底解剖”」会場の様子 「@IT 製品比較セミナー “フラッシュストレージ徹底解剖”」会場の様子

2万5000台の仮想マシンを支える「楽天」のストレージインフラとは

photo 楽天 グローバルオペレーションズ部 日本プラットフォーム課 サーバープラットフォームグループ IaaSアドミニストレーションチームの高泉公一氏

 国内最大規模のオンラインショッピングモール「楽天市場」をはじめ、暮らし、旅行、金融、メディアなど、私たちの生活に身近なサービスを多数提供している楽天。同社のサービスを支えているインフラストラクチャが、約2万5000台の仮想マシンが動作するプライベートクラウド「RIaaS(Rakuten Infrastructure as a Service)」だ。この上でデータベースをはじめとする基幹系アプリケーションが動作している。同社グローバルオペレーションズ部 日本プラットフォーム課 サーバープラットフォームグループ IaaSアドミニストレーションチームの高泉公一氏が、データセンターの移行などを背景に、同社のストレージインフラをどのように構築し、変えていったかを説明した。

 楽天ではもともと、大手ストレージメーカーの製品を中心に、SSDや二アラインストレージなど異なるタイプのディスクを組み合わせてストレージを提供していた。そして新たなデータセンターを開設し、仮想化基盤への移行を本格的に開始した2013年より、オールフラッシュストレージの本格導入も進めていったという。

 きっかけは2013年に開設した新データセンターとともに、仮想マシンを全てRIaaSに移行させる方針を定めたことだ。キャパシティーやパフォーマンスに加え、「VMware vSphere」とストレージの連携を可能にする「VAAI(vStorage API for Array Integration)」対応といった観点で検討を進めた結果、使い勝手が変わらず、遅延も少ないHPE 3PARのオールフラッシュ製品を採用することにした。「仮想マシン上にデータベースを構築しても問題ないパフォーマンスが出た上、データの階層間移動がないため、負荷のスパイクがないこともメリットだった」(高泉氏)

photo 楽天市場

 続けて、「データリダクションを活用して、コスト効果をさらに改善したい」という観点から、次の機器選定も開始した。このときは、運用コスト(OPEX:Operating Expense)に響いてくる消費電力やデータリダクション効果、その際のパフォーマンスなども条件に加えて検討した。選定した製品は「データ圧縮率がかなり良好で、GB単価も想像以上に低くなることが分かった」という。仮想マシンの移行もサービスを継続したまま実施でき、「移行実施中もユーザーは(パフォーマンスの低下などに)気が付かない」ほどスムーズに進んだそうだ。

 オールフラッシュストレージ製品の本格導入から3年たったが、2016年6月現在、大きな障害は発生せず、安定して稼働しているという。「HDDであれば毎週のように1本は壊れていた、SSDは本当に壊れない。また仮想マシンをストレージ間で自由にマイグレーションし、キャパシティーを均等化できるのもメリット」とのことだ。一方で、オールフラッシュにおける「高負荷時のパフォーマンスペナルティ」など、新たな課題も見えてきたという。

 最後に同氏は、GB単価や消費電力の観点から適材適所とすることを原則にしながらも、選択肢はまず「フラッシュありき」だと述べた。

 そして機器を選ぶ際の注意点として、「ハードウェアは各社で大きな違いはないように見えるかもしれない。しかし、よく見ていくと各社とも違うし、さらにソフトウェアはけっこう違う。データリダクションの容量見積もりは困難なため、PoC(Proof of Concept)を行って、自社環境で比較してみるべきだ」と述べ、自社のニーズに合わせて選定することが重要だとした。

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